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褒美

 そう言われては受け取らないわけにも行かない。



「ありがたく頂戴します」




「良い、本来の口調で構わぬ。巨壁の国とやらでもそうなのであろう?」



 俺はそれを聞いてルイを睨むが。



「大半の原因はあの吟遊詩人ちゃんだよ」



 少しはお前のせいでもあるって事じゃねぇか。




「まぁそう怒るでない。賽の字の求める所は押さえたつもりだ。ようはお主、しがらみを持ちたくないのであろう? それもそうさな、金も力もあり、挙句に好きなときに好きな場所に行けると来た。王等より増大に贅沢な身分よの」




 まぁ王なんて身分にはなりたくないな。人を見る目も無い俺には到底無理だ。信頼できる部下を持てず重い役割を全てこなして過労死。ありそう。




「そこでだ。お主にはこの国の至宝の一つを与える事にした。なぁに貰って困る物ではない、賽の字は精霊石と言う物を知っているか?」




「知らないな」



「精霊石と言っても精霊とは関係は無いがの。龍脈、もしくは霊脈の本流で出来る鉱石でな。お主にはこう言う物の方が好きであろう。力ある宝石だな」




 貴重なものなのだろう。確かに金はもう十二分にある。なにに使えるかは知らないが、面倒なオプションが付かないなら何でも良い。




「御配慮感謝します」




「良い、求めるのはお主との友好的な関係じゃからな。友であれば良し。無理でも客と店主くらいの」




 ルイから色々聞いたらしい。妙に引きが良い。



「こちらとしてもそのくらいの距離感が助かる」





「さて、わしはこれくらいで失礼するかの」と部屋を出て行く王。代わりに今まで静観を決め込んでいたルイが口を開く。




「さてダイス君。吟遊詩人ちゃんの話に入ろうか」




 部屋の空気が変わる。恐らく結界の一種だろう。



「是非聞かせて欲しい。あの後どうなった?」




「端的に言うと吟遊詩人ちゃんは悪いとは言えない。かと言って襲ったダイスの事情を考えればダイスが悪いともいえない」




 話を聞くに、あの後俺は彼女に介抱されていたらしい。彼女自身半端に俺を見たせいで、歌を紡いだが粗方俺を見終えて、まずいと判断したらしい。




 そして初見での俺は完全に暴漢だったらしい。今思い返せば、強引だった気がする。事情が話せなかったから仕方ないとはいえ、いやそれは言い訳か。




「俺にかなりの比重で非があった訳か。ルイ、すまん。迷惑を掛けた」




「さて、これからダイス君にはやってもらう事があります。これは全て自身の為なので拒否権はありません」



 ドヤ顔のルイが見てて微笑ましいのは、本人にはいえない秘密だ。



「何をすれば良いんだ」



「それはね」

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