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目覚めると

 目を覚ますと見覚えがちらほらと見える。それにしても体全体が痛い・・・思い出した。確か俺はあの女にボコボコにされて。そこで記憶が無い。



 負けたんだな。完膚無きまでに、少女と言っても過言ではない体躯の女性に。魔力の存在すらなく、文明の力も一切意味を成さないあの条件下で。




 今まで地獄の中で鍛えた事で手に入れた優位性、自信が崩れゆくのを感じる。少なくても身体のスペックだけなら負けるわけが無いのだ。挙句に相手は同様と体の動かし辛さというハンデまであった。




 くやしいな。







 しばらく色々な事柄が頭を駆け巡る。結局行き着いた先は、このままではあの場所は守れない。



 気が付けば如何にあの場所の安全性を高めるか。その事しか考えてなかった。





 だが考えなければいけなかったのはその事ではなかった。もっと優先順位の高い事柄があったのだ。




「ここは何処だ?」




 見渡せば妙に品の良い調度品。この世界では数少ないガラスの窓。それなりの資金力とセンスの持ち主の客室、そんな所だろうか。




 ドアが開き、人が入ってくる。一瞬身構えたが、その姿を見て力を抜く。ルイだ。




「お目覚めかな?ここが何処か君が今冷静に分析出来ているならわかるはずだよ」



 ルイがいて無駄に良い部屋。しかも客室があるような場所。




「王城か。助けてくれた事には感謝するが。ついでと言わんばかりに、王に会って行けってのは少しばかり強引じゃないか?」




「ダイス君さ巨壁の王にも呼ばれてたよね。勿論こちらの王にも。ああ、ついでに言うとギルド総長にもだよ。なにか罪で呼び出されてるのなら放置しても良かったんだけど。全部君の功績を称え、褒章を与えるものだ。君も分かってたよね」




 分かってるとも、だからこそはぐらかしたい。それはあまり受け取りたい物ではない。




「そうだぞ賽の字。王が褒美を与えんでは懐と器の狭いと思われてしまう。多少の見栄くらい見せさせたとて罰はあたるまい。そうであろう賽の字よ」



 開いたままのドアから出てきたのはこの国の王その人だった。



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