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巨壁への物資

 何事も半端は良くない。巨壁の国の事だ。折角ジャガイモ、トウモロコシ等を手に入れたのだ。早々に渡してしまおう。




 王の所へ? 行かないね、でもその配下の所に代わりに向かう。泉辺りに転移して、そこから探せば良い。




 泉に来たのだがその風景は大分変わっていた。大きな屋敷、まだぽつぽつとだが民家がちらほらとみえる。丁度良い。あの屋敷を訪ねるとしよう。




 変装状態でも住人にまでは俺は知れ渡ってはいないようで。普通に挨拶をしてくれる。今までよほど辛かったのだろう。問題が解消された人々からは活気が伝わってくるようだ。




 やればやるだけ豊かになる、そう確信してるかのように。この国であればそうだろう、そういう王だ。そうこうしてるうちに屋敷についた。




 門にいる兵は俺を見ると、凄い速度で走ってきて、膝を付け頭を下げた。




「お待ちしておりました。商人様」この呼ばれ方も久しい。でもこの仰々しい態度はどうにかならんのかねぇ。





「俺は貴族でも王族でもないよ。そうされると困ってしまうよ」本心だ。



「それより、この屋敷の主は誰かな?」




 兵士は顔を上げて「ルシーリア殿です」そんな奴いたか?・・・ああ、いたいた文官の女性だ。記憶を辿り当たりをつける。




「確か文官の女性だったかな?」



「その通りであります」動きがガチガチだ。もう少し力を抜いてもいいのに。




「少し話がしたい。可能だろうか?」



「問題ありません。そろそろこちらに着く頃合かと思われます」もう片割れの兵は館に走って行ったし、そうだろうとは思ったが。どうにもこの扱いはなれない。




「そうそう、君に頼みたい事があるんだが構わないかい?」




「私に出来る事ならなんなりと」




 気持ち良い返事だ。怖いくらいにと着くがな。俺は空間庫から麻袋に入った作物を取り出す。



「こいつを、運び入れてくれないか、涼しくあまり日に当たらない方が良いかな」




「食料ですか?」



「寒さや暑さに強い物や、水があまりいらない物だ。しかも中々に美味い、と言う訳で運び込みを頼むよ」



 無駄に良い返事をして運び込みを開始した。




 屋敷から数名出てきてこちらに走ってくる。件の女性もいるようだ。





「大変・・・お待たせ・・・しました」息も絶え絶えといった所か、別段待たされた気もしないし、ゆっくりでも良いのに。




「ささ、屋敷へ御案内します」




「案内は必要ない、貴女が来てくれたから手間が省けた」俺は紙束を彼女に渡す。



 


「これは、今屋敷に運び込ませている食物の概要と注意事項を記載したものだ。役立てて欲しい。御代はこの国の食糧事情に貢献できたらで構わない。申し訳ないが俺も立て込んでいるので、これで失礼させて貰う」




 あたふたしている女性を尻目に俺は帰路についた。




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