表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

247/397

死者の軍勢

 夜、周囲は静寂に染まり、皆寝静まる時ソレは突如として鳴り出した。鐘だ。それも時を知らせる物では無く。危険を知らせる鐘だ。



 当然使者である俺は呼び出される。




「使者殿、夜分に済まない。しかし、緊急の事態だ。友よ、説明を頼む」




「単刀直入に言おう。魂の同郷者よ、力を貸せ。相手も同類で、元の世界で言う所のネクロマンシーだ。神に仕える者が死体弄りの能力とはなんとも皮肉だが、今回の水害の生き残りだろう」




「魂の同郷者については分かりませんが。敵の数と接近してきたルートが掴めません。内通あるいは情報の漏れ、警備の穴があったのでしょう。可能な限り力は貸しますよ」




「内通も不備も無い。奴の能力だ。奴は自分自身がいる所にスペースさえ確保できれば動く死体を呼び出せる。ほぼ単独での行動。多くてもこれだけの接近を悟れない時点で小隊程度だ」




「死体の、いや敵の数は」



「今回の死者ほぼ全てと見て間違いないだろう。だからこそ幾分かの猶予がある。奴等は力こそ恐ろしく強いが代わりに鈍足だ。這う程度の速度。これを踏まえてせめて民が逃げる時間を稼ぎたい」




 数が多い。だがここでこいつらが滅んでしまっては意味が無い。




「では卿は監視をしつつ、私の策がダメだった時の為の準備と遠目での把握を、私はアテがあるので土に返す手伝いでもしましょうかね」




 これは仕方ない。やらねば詰む。巨壁への隠蔽も近い未来ばれるだろう。それでもやらざるを得無い。ルイの関係者として王と変装して会い。巨壁同様の姿で来るべきだった。



 後の祭りって奴だ。我ながら浅はかだったな。




「お手並み拝見と行きましょう。民には距離を取って貰い、我々部隊はぎりぎりに布陣します」




 俺は席を立ち外へと出て行く。うごめく死体の大軍勢の元へと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ