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報告?そんな事より試合しようぜ?

 それからしばらく経ち、呼ばれ、王の元へ向かった。そこでルイとの話し合いの結果をある程度聞かされた。



 簡単な話だ。俺が窓口で俺が色々やるとの事。ほぼ丸投げである。まぁ当然だわな、向こうの同盟の国々にはこちらに渡りを付ける事は伝えてるだろうが、転移符の事など伝えてるわけが無い。




「やるだけの事はやるさ。必要になればルイを無理やりにでも引っ張り出すさ」




「頼む、必要経費はこちらで持つ。当然賽の字への褒賞もじゃ」




 最低限の金はでるようだ。仮にも商人を名乗っているのだ、タダ働きなどやってられない。



「王よお願いしたき事がございます」急に声をあげるクランツ。




「そなたが願いとは珍しいの。言うだけいうてみい、何を言おうが罪には問わん」




 寛大なこった。




「ありがとうございます。ダイス殿と試合をさせていただきたいのです」




「わしとしては構わぬが、賽の字の都合もあろう、本人が良いと言うなら構わん」



 するとどうだろう、私もお願いしますと言う声がちらほら聞こえてくるのだ。怖いわこいつら、君達は俺に何の恨みがあるの? 確かに鍛える事や経験を積む事は必要な事だ。だけどもう少し遠慮ってもんが。



「賽の字、頼めるか?無論ただとは言わん。そうさな、褒賞を出す。更にこやつらの中から一人勝利を取る度に賽の字の願いを無理の無い範囲で叶えてやろう。余興と演習のようなもんじゃ、気軽にな」




「連戦は止めてくれよ。兵相手にそれが出来るほど強くはねぇよ俺は」




「それで良い」王は嬉しそうに言う。こいつらの王なんだからこんなもんか。まぁ嫌いではないけどな。




「では早速始めましょう」クランツは部屋の中央へ進みそう言った。今からやるのか?いやいや流石に王もそんな事考えてないだろ?




「そうさな、無手か武器ありかまずはそこじゃな」やる気満々の王。アグレッシブすぎやしないですかね?



「王よ、どちらもやれば2倍楽しめますぞ」したり顔で言い放つクランツ。なんか少し殺意が湧いた。




「全く持ってその通りじゃな、賽の字よ片方でも勝てれば勝ちで良いぞ」




「楽しそうでなによりで」嫌味のつもりだが、多分通じてないだろう。俺も中央に向かう。




「まずは無手じゃ、双方用意は良いな?」俺は頷き、クランツは「はい」と答える。



「では初めよ」




 クランツが物凄い勢いで突っ込んでくる。俺は迎撃の構えを取る。左腕を軽く突き出し、右手は顔の少し斜め下に。拳は半開き。



 クランツは突進を止め、そして妙なステップを踏み出した。ボクシングのそれとは違う、どう来るかこまねいていると、凄まじい速さで拳が顔に迫ってくる。右手で受けるがダメージはある。




 厄介だ、早い。ならばだ、俺は拳を広げた。すると相手は露骨に嫌な顔をする。



「殴りあうつもりはないのですか?」クランツにそういわれるが実はその通り、これがボクシングなら勝ち目は全く無い、速度と火力の差が大きい。




「それはどうだろう?やってのお楽しみだ」軽口を叩くと今度は連打の雨が降り注ぐ。




 ダメージこそ多少あれど決定打は貰っていない、そして連打なんぞしていた日には、腕を捕らえる事が出来る。顔面に貰いはしたが、首を捻り威力を流した。



 相手の攻撃した体重の乗った腕を取った。それは理想の状況だ、後は投げるだけ。投げて隙が出来れば関節を決めて終わりだ。これは元々この世界に来る前に持っていたもの。武に於いては一番付き合いが長いものだ。決まれば例えプロにだって外すのは困難なはずだ。




 案の定クランツも身動き一つできない。




 こうして一勝を手にした。




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