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返却

飛んだ先は一面の花畑だった。そこに、懐かしいあまりに懐かしい顔がある。まだ私が魔術に関わる前の記憶。半世紀程前になるだろうか。



「待っていたよ。今の予想される状況を説明するよ」




 何もかもが懐かしい。でもこれは夢幻、あるべき所に帰るべきだ。



「聞きましょう」



「欠片でダイス君は同調をしすぎた。お陰で精神汚染が進んでる状態だ。鑑定で自分を指定してみればわかるだろう?」



「鑑定ですか?」意味がわからない。父は頭を抱え。



「スキルの使い方を失念するレベルでの汚染か。これはまずい。この世界はよくあるゲームの様な世界だ。魔術師からすれば苛立たしいけどね。確認したい事象や物や人を指定して鑑定と思うだけでも良い。そうすれば頭に勝手に入ってくる」



「分かりました把握しますので、少し時間をください」



 言われた通りにやってみよう。数十分色々試した。






 結果。私はこの体の主を助ける方法を見つけた。このスキルという物。恐ろしく汎用性が高く組み合わせ次第で異常なほどに化ける物だと。問題は解決したと見て良い。だけど、もう少しだけ体を借りようと思う。




「状況の把握が終了しました」



「それは良かった。どうにかできそうかい。手伝える事があればなんでもやろう。これはこちらの責任だからね」



「問題はありません。この状況も任意ですぐ戻せそうです。その前にお聞きしたい。何故その欠片を手にし、この体に使わせたのでしょう?」




「前にも言ったけど。その欠片は息子の物なんだよ、記憶には無いけどね。どうやら大禁呪を使ったらしくその対価で他の人も知らないんだ。それでも空白と呼ばれる矛盾を見つける事でその欠片にたどり着いたのさ。見るための器が無いから君に頼った」




「成る程。私は欠片の残滓の様な物なんですね。父さん。この体の持ち主は精神汚染の度合いを上げて、どうやら無理やり体の使用権限を渡してこの状況を作った様です」



「何故、そんな真似を?」




「私が気付いた時は疲労困憊で敵と対峙してましたから。私ならやれると思い決行したのでしょう」




「それでは君はアリアなのか?」



「記憶の残滓。夢幻の産物ですよ。ですが一目貴方を見れて良かった」




 これ以上は未練になってしまう。体を返すとしましょう。薄れいく意識の中で暖かい何かを感じながら私は倒れた。





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