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行商人の夫婦

 入り込むのは簡単そうだ。何故なら、行商人が都市に入るため並んでいるからだ。馬車が50は超えるだろう。人だけって人もいるから人数はかなりの物だ。



 俺はそれに並ぶと前にいたおばさんに話しかけた。



「やぁお姉さん。こりゃ結構時間が掛かりそうだね」おれは列を指差しそう言う。



「お姉さんなんて口が上手いねぇ。で?何が聞きたいんだい?」




 俺は銀貨を一枚投げ渡すと「俺は田舎から出てきたばっかりでな。この土地の作法や決まりってのがわからねぇ。粗相して信頼を失う前に恥でも聞いたほうが良いと思ってね」



「それは殊勝な心掛けだねぇ。アンタ聞いてるかい?最近の若いのでもちゃんとしたのがいるもんだ」御者をしてるおっさんに話しかけている。



「違いねぇや。貰うもんまで貰っちまったら仕方ねぇ懇切丁寧に教えてやるよ」




 情報は非常に有益な物だった。教国の3箇所を除いて基本的には税として、荷物の1割を払う事で商人として中に入る事が可能だそうだ。今のうちに袋を空間庫に放り込んだ方が良さそうだ。



 税率も大雑把な地図を見せてもらいながら場所ごとに教えてくれた。あと、聖職者に出くわしたら銀貨を一枚渡しておくのが良いそうだ。無い場合はある程度手持ちが無く、申し訳ない感を出しながら気持ち程度に渡せば良いそうだ。



 これは目をつけられないためにやるのが常識だそうだ。パワーバランスがよく分かる図式だ。



 挨拶の仕方や、御えらい様への対応。なんかも教えてくれた。実に良い人達だ。そんな感じで時間は過ぎ。俺の番がやって来た。



 俺は手持ちの麦と塩が入った袋を渡すと兵がそれを確認する。



「塩と小麦粉か。物なら1割。貨幣なら銀貨3枚だ」俺は素直に銀貨を渡す。まぁそっちの方が安いからな。目利きが出来れば銀貨3枚で済むわけがないのだが。




 隣で税を払っていたおばさんがじっとこちらを見ている。気づいているのだろう。



 案の定街に入ると話しかけて来た。



「ツイてるねぇお兄さん。貨幣で払ったのは正解だよ。担当が節穴じゃなければもう5枚は取られていたはずさ」



 俺も正直焦ったのだ。自分が食べる用の食材を間違って出したのだから。



「全くだ。ツイてるなアンタ。所でだ、そんなツイてるアンタに良い情報がある。どうする?」



「どの程度の利益が見込そうだ?」俺は訝しげにそう言った。



「2割増しくらいだね。どうだい?」



「銀貨2枚で。それ以上は無理です」交渉するのも嫌いじゃないが、今は時間が欲しい。



「商談成立だ」俺は銀貨を渡すと。




「ここから先に行くと飛鳥亭ってメシ屋があるんだが。そこで売ればアンタの商品なら高値で売れる。ダメだった時はこの金は返すよ」



「もしかして」




「知り合いの店だ。値段は高いが最高の物しかださねぇ所さ」



 まずは行くとするか。

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