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拍子抜け

 私は密かに喜んだ。心配もしたが彼の言い様は勝ちを確信したそれに聞こえた。なにより彼について知れるのだ。ギルドは様々な土地に冒険者がいる。情報は彼らを通して入ってくる。当然巨壁周辺国にいるギルドの冒険者に、巨壁の調査だって進めているので多少の情報はある。



 この大陸の情報はある程度は私の下に集まる。しかし、彼の情報は余りに少ない。憶測で想像は出来なくも無いが。妄想の域を出ない物ばかり。彼は大事なギルド冒険者であり、取引相手だ。その恩恵は最早無くてはならない。だからこそ知りたいのだ。



 その力だけでも良い。彼を信頼していない訳ではないが余りに不透明。安心が欲しいのだ。



 だがこの彼の力を知るという願いは叶わなかった。彼はほぼ手を下していない。アルトと言う強敵は無防備な背後から味方の女に刺されたからだ。




 その後、刺した方も刺された方も力なく倒れ。アルトは息絶え。女は首を刎ねられた。なにがなんだか全く理解が追いつかない。当然見ていた他の者も同じ心境だ。





 話を聞くと。女は現クロヴァクス家の当主。アルトによって長い間精神支配を受けていたらしい。その間何があったかは想像にまかせるとの事だが。復讐心を募らせるに十分な出来事はあったのだろう。彼はその精神支配を解いたとの事。




 その後の進軍も話を聞いて回ったがいつもより少し調子が良く感じた程度で劇的な変化は無かった様だ。この辺は彼の力なのかもしれないが、私の思うそれとは違ったようだ。



 クロヴァクス領の制圧は異常な程に簡単だった。全面降伏に近い状況に拍子抜けしてしまったが。当主が既に討たれているのだから仕方ない。




 彼は遺体を家臣の者に渡すと精神支配の件を伝えた。家臣も異常さには疑問を感じており、彼は感謝されていた。



 これからこの領は現当主の弟を当主とし、運営して行く様だ。こちらへの損害賠償も長期間かけてではあるが書面で確約を得た。こちらの被害は無し。落としどころとしては最上であろう




 その後、ポーションの価値についてどうなってるか聞かれたが。彼はあのポーションを低価で販売していると思っていたらしい。価値を下げない為の努力もして価値の安定に勤めていると伝えると。ほっとした様にだ。





 そして彼から面白い話が聞けた。これは非常に魅力的な話で。別大陸に支部を置いてみてはと言う提案だった。既に権力者とコネクトがあるようで。どうにかなるかもしれないとの事だ。




 不安はあるが本当に彼は人を飽きさせない。

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