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彼の話をしよう

 念話符で連絡をするとルイはすぐにやってきた。だが幾分か様子がおかしい。顔色もどこか良くない。



「どうした?大丈夫か?」



「大丈夫。だけど欠片の探索はそろそろ限界かもしれないね」



「どうみても病人のそれだ。大丈夫に見えない。自分の状況をわかって言ってるのか?」



 ルイは地べたに座り込み苦しそうに「探索の付けさ。これ以上探しに行かなければどうという事は無い。それより話を聞かせてよ。気になって仕方ないんだ」




「分かった。聞かせてやるからとりあえず、ベッドで横になれ。話はそれからだ」



 ベッドに寝せて、ポーションを飲ませた。無いよりはましだろう。




「本当は寝て欲しい所だが仕方ない。じゃあ彼の話をしよう」本人の救いなんて見当たらない話を。



 俺は話した。下手成りに、彼の語りべとして。最後までは語る術はないけれど、ただただ思うままに。




「そうか・・・目的は成せたんだね」



「ああ、それは間違いない。俺は見ていて納得行かなかったが。彼は満足そうだったよ。何を対価で持っていかれるかは知らないけど。生きているのなら幸せを祈るよ」



 これは本心だ。彼は十分幸せを求める事は出来たはずだ。一度消滅した縁だってまたゼロから繋ぎ直した。だが、彼はその縁を再び絶ってまで、親友の娘の安寧を願った。そこまでやる必要はあるのか?あの時点で十分すぎるくらいに安寧だったのでは?



 やはり俺には納得出来そうに無い。



「さぁ話はここまでだ。ルイは休め」




「ああ、流石に疲れた。それとありがとう」それだけ言うと眠りに付いた。欠片探しってのは随分負荷がかかるものなのだろうか? 今日はこのお子様の面倒で潰れてしまいそうだ。





 面倒を見るといっても急変しないか見守るだけで、正直暇だ。考える事は多々ある。例えば彼の魔術をどう俺に生かすかだ。理屈やコツの一部は流れ込む情報で分かる。




 あの頭がおかしい精度の人形作成とかも俺には無理だ。だが人形を使う魔術や儀式あれは有用だ。




 あの美しい光景を俺にも再現できるのだろうか?多重の術式と陣。鏡で増幅された光と音。幻想的。いや、幻想そのものではなかったのだろうか。と今でも思う。




 何はともあれ。まずは人形でも作ってみますか。

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