F-4 エビを食そう
前回のあらすじ
・人に見つかった。やめてこっちを見ないで>
え?なんでこっち見てんの?デビルフィッシュなんてもん食べたいの?本当に食べたいの?
・・・これ、詰んだかも。先に動いたら死ぬヤツだし。それに、動かなくても死ぬわ。本当に狙っているんだったら、詰んだ。打つ手なしかも。
いや、あるはずだ。ここから抜け出す手が。神様が俺を転生させたんならこんな状況から抜け出す手ぐらい持たせてるはずだ・・・多分。いや、持たせてない可能性のほうが高そう。
何か打てる手を探すんだ俺。この状況で打つべき手は、多分相手を倒すことよりもここから逃げる方法だ。タコは持っていたはずだ。
タコの特徴の一つ・・・『墨』だ。
これが起死回生の一手だろう。
墨を吐き、逃げるなんて体の色を変えるとかいう無茶に比べれば簡単だろう。
そして、墨を吐き、姿をくらます。こっちを見ていた人間はわずかながら驚いたような表情を見せた。
今だ!このチャンスを逃せば多分逃げることが出来る。急いで岩陰へと逃げ、隠れる。視界の端には、人間がなんかよく分からんヤツを採っていた。
・・・。
・・・まあ、そうだよね。私、影が薄いんですもんね。そりゃ、俺の事狙いませんよね。いいことだ。
さて、今度はどこに行こうか。特に当てもないしな~。まさか、暇ができるようになるなんて思わなかったな。取り敢えず、あの弱い貝のいるところ目指すか。
そのときが、対魔物連合軍戦闘要員80万人のうち、約5割を滅ぼし、人類に壊滅的被害を与えることとなる『海災』と人類が互いの存在を認識し合った瞬間であった。
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だめだ。見つからん。せいぜいがカニとかエビぐらいだ。貝が全然いねえ。自然界では食料が大事なのに。
なんか、タコに食べれるような生物いないかな~?例えば甲殻類の生物とか。
・・・ん?甲殻類?
カニとかエビとかいたじゃん!食べ物があったんならいざ捕りに行こう!
進め!いざ、食べ物の為に!あ、居た。
見つけたのは1匹のエビ。複数の足を巧みに動かしながら、前へ進んでいく。大きさは俺が標準的なタコだとすると、かなり大きい伊勢エビ位だろうか。
うん、狩れる。なんとなく、狩れそうな気がする。あ、でも『鑑定』はしとくか。
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〖種族:スクリラ〗年齢:1歳 Fランク
Lv6 スキルポイント:380
ステータス
HP:500/500
SP:267/400
MP:150/150
速度:170
攻撃:70
防御:130
魔攻:15
魔防:42
職業:無し
スキル
防御系:『対隠蔽耐性Lv3』『対物理耐性Lv1』
攻撃系:『ハサミLv2』『突撃Lv1』
魔法系:無し
技能系:『逃亡Lv5』『気配感知Lv3』』『索敵Lv3』
固有系:『後ずさり』
特典系:無し
称号:『危険回避』『サバイバー』
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勝てる。こいつになら勝てそう。こいつ食えばかなりいけそう。ステータス的にも勝てる相手だ。
背後からエビに近づいていく。これなら後ろに飛ぶあのジャンプもできないだろ。なのにエビに気付く様子はない。『気配感知』とか持ってんのにな。なぜ、気付かないんだ?やっぱ『影が薄い』?
段々と近づいていって4メートル、3メートル、2メートル・・・今だ!後ろから触手を伸ばし、体にまとわりつかせる。エビはもがくが、こいつを離したらこの先きついかもしれない。だから絶対に離さない。噛みついて殻を破り、エビの命を奪う。
<経験値が一定に達しました。Lvが1から3に上がりました。>
おー!これが良く言うレベルアップってやつか。エビの経験値すげえな。貝を十数匹食ったのに上がらなかったレベルが一気に2も上がった。この調子でいけばあの貝とも渡り合えるようになれるんじゃね?たしか、あいつはBランクだったか。上限はやっぱSランクだろうか?はじめの一歩さんお願いします。
<最高ランクはSSS。人間の間では、神災と称されるパネエ奴。怖い。>
・・・はじめの一歩さんも怖がるようなのがいるんすか。タコがそんなのなれねんだろうな。ましてや俺だし。
<進化先によってはなれます。頑張ってください。>
なれるんだ。
じゃぁ、目標はそんなやつでいっか。というか、このエビやっぱうめえ。