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影法師
寂寞を仕舞い込んで
笑って歩いた導火線の空
ただ木の葉に揺れる
日の声に誘われて
涙は枯れ果てずに
悲しみの言葉を拾い上げ
力無い群青色の
扉を叩いた叩いた
君を頼った
君の嘘を信じた
ただ君のことを
心から愛した
空は泣いているようだった
地には戦慄の螺旋が眠っていた
ここに居るだけで精一杯だった
目を開けるのが怖かった
今を知らなかった
期待という言葉は消えていた
在るのは目に映る
等身等大のこの世界
目には映らない命に
心は砕かれていた
君を頼った
君に嘘は無かった
ただ君のことを
心から愛した
明日には新たな風が吹き
プラネタリウムは聖なる希望を
静かに歌っているようだった
誰にも気付かれたくない
誰にも分かって欲しくない
美しくなくていい
けれども見捨てないで
君だけは僕のことを
心から愛して
君を知りたかった
君だけしか見えなかった
ただ君のことを
心から愛した
みなもに映るこの月に
小さな小さな祈りを
僕らが産まれ育ったこの青緑に
小さな小さな慈しみを
寄り添う枝葉は
やがて一つの果実に
恋は愛に憧れて
愛は恋よりも近くに
ありふれて
ありふれて
小鳥が空に囀ずれば
蕾は歌を覚えて
夢に咲いた
君のこと
あの日のことを
忘れはしない
ただ君のことを
心から愛した




