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春の風
春の風に吹かれれば
慈しむ心が
この若菜や草花
あの蘖のように
青々と芽生えて
恋の雲からうまれた
天水によって
雌しべと雄しべは
世界の岸辺で戯れて
咲きこぼれる
その飛沫のゆりかごは
金剛石のように
恒久を約束し
数多くの星辰のように
その新生をおどり煌めく
子達は木漏れ日のなかで語りあい
悲しみの螺旋は慈悲に変わって
岩のようにたたずみ
耐え忍び見守ることは
愛の薫陶によって報われた
人々の声は颯爽と
一枚一枚の葉に溶けて
かの憧憬は今甦る
よろこびをうたおう
よろこびをうたおう
蕾は光によって
たおやかに膨らんだ
今こそ花ひらくとき
今こそ花ひらくとき
その百千なる花粉と蜜を
世界にさしあげるとき
全てに捧げよう
全てに捧げよう
奥の奥から咲いた
心の花束を




