夜の砂浜
こよなく喜ばしい御光を
愛さぬものはいない
かの砂浜から夜空に散りばめられた
無数の星の大湖が このまぶたに浮かぶ
夢幻の森に誘い込まれた 心の淵よ
星の聖霊により 吸い込まれたさざなみよ
その煌めきは三世を閃く
高鳴る鼓動は 今を突き動かし
青春に旋律を走らせ
浜風の馨りは遠き日々の彩りと
追憶をしのばせる
友の声は蟠りを解きほぐし
静寂なる魂にいざなわれる
豊穣たる調べに寄り添う果実は
この宇宙をも包まんとばかりに広がり
星辰の微かな光はあまねく心に
余多なる生命への息吹きを告げる
太古から恋慕して歌う
われらの先祖は
この貝の砂にたたずむ
音色は青年の陰影に愛を募らせ
瞳に騒がせる世界の戦慄と
かの黄金時代に翳された
月光に青年らを微睡ませる
黄金からの使者達に青年の心は奪われて
美しの宮に辿りつき
かの砂漠へと道は繋がれる
いにしえに眠る聖なる魂達が呼ばわりしとき
溢れるばかりの愛に満たされて
遠き日々の鬱憤の叙情は
白きたおやかなる風に運ばれて
不死鳥の翼に眠る
星の大海からの流木は
憧憬の矢と成し
引き裂かれた胸の痛みは
深潭なる内奥の奥を呼ばわり
秘儀の宮から
御声は今まさに甦らん
一つなるかの御声は
復活の御命として
この地に舞い降りる
夜の砂よ 夜の海よ 夜の御霊達よ
決して忘れはしない日々の面影よ
渚は内奥の谺に鎮まる
再び時のない時の妙に入らん
嗚呼 夜風よ夜風よ 潮のざわめきよ
かの故郷へと還して下さい
星はまぶたを閉じ 深い眠りに就く
太陽よ 今はまだその顔を覗かせないで下さい
皆のきよらかな可愛い眠りを
導く月の御光でいらして下さい
決して遮ることが出来ない御光で
優しく照らし安住の園で
眠らせて下さい
最深の御声にわれらは憩い
全霊を委ねます
嗚呼 夜風よ 夜風よ 波のときめきよ
寂然のさなかに
青年の胸を鎮めさせて下さい
夜風になすがままに吹かれる砂となり
胎なる海に抱かれるまで




