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56/66

56、現実3~廃棄ラボ~

この作品はフィクションです。


「…。…、…。」


どれくらい走っただろうか。


そんなベタな表現をしたくなるくらい、私は走りに走った。


完全に息が上がっている。キャリアーのおかげでかなり軽くなっているとはいえ、やはり、誰かを背負って走る、というのは大変だ。




私が勤めていた研究所は地下にあった。郊外の森林公園の外れの方にある、今は使われていない感じのレストハウス。その地下が、研究所だったのだ。




地上へと上がって、愕然とした。


レストハウスが、跡形もなく廃墟になっていたからだ。


そして、地下へと向かうための通路が、無理矢理こじ開けられていた。




何が起こったのか。それはわからない。


でも、


とんてもなく危険な事が起こっているということは、容易に想像できた。




命の危険。




私は、すぐさま駆け出した。










「………ふぅ。」


やっと呼吸が落ち着いたところで、私は天を仰いだ。とはいえ、そこにあるのは薄汚れた天井と、消えかけた照明だけなのだが。


ここは廃棄ラボ。かつては研究所として機能していたのたが、今は見る影もない。非常用の電力が、わずかに通電しているだけだ。


場所は、さっきまでいた研究所から、約1キロ、といったところか。…、いや、あくまで個人的な感覚だけど。


正直、長居はしたくない環境だ。部屋、というよりも、倉庫に隠れている、という感じか。


それでも、


命には変えられない。






「………?」


そういえば、主任は大丈夫なのだろうか…。無事に脱出できたのだろうか。


不安がっても仕方がないけど、どうしたって不安が募る。





そういえば、


彼女は、大丈夫なのだろうか。逃げるのに必死で、状態を気にしている暇もなかった。


ふと、そう思い、私は床に下ろしたキャリアーに目を移した。



と、





次回に続く。


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