54、現実3~妄想の利用法~
この作品はフィクションです。
人一人の人生を犠牲にして進められているBSP。もし、この事実が公になれば、非難批判を受ける程度では済まない。関わった全員に処罰が下るだろう。
だが、公になることは、決してない。
なぜなら、この計画には国が関与しているからだ。
当然、行方不明になった彼女の捜索は行われている。が、見つかることは決してない。
警察は、決してこの場所に立ち入らないからだ。国が関わっている、とは、そういうことだ。
そうまでして進められているこの計画。その最終的な目的はなをんなのか。妄想を研究しつくして、どうしようというのか。
それは、一介の助手でしかない私にはわからない。教えられていないからだ。
………まぁ、あまり、まともな理由ではない気がする。人を犠牲にする行為自体が、まともではないし。
それでも、私がこの研究に携わっているのは、主任研究員に指名されたから、という理由もあるけど、もう一つ。
私自身も、妄想好きだから。
だから、妄想の研究、なんていうのは、私にとってはするべくしてする研究、とでも言うべきか。
そんな、研究を進めたい気持ちと、研究を疑う気持ち。そんな両方の気持ちを持ったまま、日々研究を進めていたのだが。
そんな気持ちなど吹き飛んでしまうような出来事が、
なんの前触れもなく、起こってしまった。




