43、開店中~妄想を働かせよ!~
この作品はフィクションです。
「………本当、無茶苦茶言いますよね。」
開口一番。後輩くんの第一声は、やはり愚痴であった。予想通り。
全く…、発言にバリエーションとオリジナリティと意外性が欠如している。言葉はもう少し考えて発言せねば、面白味がないというのに。
「もう少し妄想を利かせなさいよ。」
「何の話ですか。」
ため息ひとつ。これも予想通り。そして後輩くんは、レジカウンターの上に、紙袋を置いた。
「見つかった?」
「一応。また補習だのなんだのと言われるのは御免ですから、真剣に探してきたつもりです。」
「うむうむ、それは何より。」
言い置いて、
紙袋の中身、確認。
「……………。」
「どうですか?」
「…課題は覚えてる?」
「『ハロウィンとクリスマスとバレンタインデーと正月を体現した一品。』でしたよね。」
「その通り。で、」
紙袋の中から、彼が買ってきた、それ、を取り出す。
「それが、これ?」
「はい。」
「一応聞くけど、これは、何?」
「カレンダーです。」
「……………。」
「ハロウィンもクリスマスもバレンタインデーも正月も網羅してますよ?」
「……………。」
確かに、そうだ。後輩くんの言っていることは、間違っては、いない。
だが。
だが!
「そういうことじゃないのよねぇ…。」
すっかり脱力して、カウンターに上半身をうつ伏せる。
「リクエスト通りだと思いますが。」
「別にとんちとかなぞなぞやってるわけじゃないのよ?私は。」
ジト目の私。動じない後輩くん。
「妄想力の発現が欲しかったのよ、私は~。」
「どういうことですか、それは…。」
「だからね?例えば………そうね~…」
例を考える。
「ハロウィン。クリスマス。バレンタインデー。正月。私がここに妄想をぶちこむと…、モンスターね。」
「それはハロウィンだけでは?」
「だから。妄想をぶちこむって言ってるでしょ~?」
ちっちっち。
指をぴしりと後輩くんの鼻先へ。
「クリスマスは一晩で世界中を駆け巡ることの出来る、光速モンスターグランパ。バレンタインデーは気まぐれに恋を成就させたり破滅させたりする、ラブモンスタークピド。正月は年始に全てを新しくしてしまう、ニューイヤーモンスターリセット。」
「………はぁ。………で?」
「これらのモンスターは、それぞれの対応する時期に活躍する。それ以外の時期には仮の姿で人間界に溶け込んでいるのよ。」
「…まさか、長くなります?」
「なるわよ?私の妄想は、こんなものじゃ止まらないんだから。」
「……………はぁ。」




