36、開店中〜否タオルミイラ〜
この作品はフィクションです。
「…だから。僕に合うアイテム、ですよ。」
二回も言わせるんじゃねぇよ、的なニュアンスを漂わせながら、彼はそう言った。だが、依然として、具体的な情報は掴めないままだ。
…前回から感じてたけど、なんなんだろうなぁ、こいつの他人を小バカにした感じは。後輩くんの嫌味とは、また違った、っていうか、後輩くんの場合は割と世間的な正論だから、まだ納得できたり容認できたりすることもあるんだけど、こいつの場合は、僕のこと知ってて当たり前でしょ?的な感じで言ってくるのよね。それが、妙にムカムカくる。
あんたに合うアイテムなんざ知るかいっ!!
…と、叫びたくなるのを、ぐっと堪えて。
「そうですね〜。う〜ん、………あ、そうそう。新しいデザインのタオルが入荷したんですよ〜。それなんてどうですか〜?」
「え?タオルはもういいですよ。この間たくさん買ったじゃないですか〜。」
……………。
んなこた知っとるわ!でもあんたと言えばタオルくらいしか思い付かないのよ!あんだけインパクトのある買いかたされたもんだから!!………もうちょっとヒント出すとかなんとかないのかこいつは…
……………
………いかんいかん。
私は、この店の店主であり、妄想世界の主であり宣教師でもある。今決めたそう決めた。
相手に求めずとも妄想で補完できる。それが妄想の素晴らしさ。一時の感情の乱れでそれを忘れてしまうとは、なんたる失態!
そう。妄想で導くのだ。彼に合う、彼らしい、彼と言えば、な、アイテムを………!
『図解、正しい埋葬の作法』
「この本なんてどうでしょうか〜。お客様にぴったりかと思います〜。」
「…え?これですか?」
「はい〜。だって、タオルを体に巻いてらっしゃるんですよね〜。この前言ってたじゃないですか〜。」
「まぁ、はい。そうですね。」
「ぴったりだと思いますよ〜?」
「………………あの、」
「はい?」
「もしかして、ですけど……………、ミイラ、ですか?」
「はい〜。」
「タオルを体に巻くから?」
「はい〜。」
「…そんなわけないじゃないですか。」
なっ…!?
「体に布的なものを巻くからミイラって、それって、ちょっと、安直すぎっていうか、わざわざミイラになりたい人なんて、今いるのかなぁ、っていうか…」
……………。
真っ向から否定された。
しかも、馬鹿にしたような笑顔で否定された。
鼻で笑って否定された。
おのれ〜後輩〜〜〜!!!!!あんたの発言を採用したばかりにこんな生き恥を〜〜〜〜〜!!!!!




