25、開店中〜女性呼応〜
この作品はフィクションです。
彼女は地味だ。
地味な見た目だ。
黒髪で、ロングで、メガネで。
行動や性格も地味だ。
うつむきがちで、おどおどしていて、言葉少なで。
そんな彼女だけど、
実は、
小鳥にだけは、心を許す。
「…………………………。」
がっくりきた。考えた結果、そのまんま過ぎる結末に辿り着いてしまった。
意外性やギャップを排除した結果、いたって普通な、まぁそうだろうな、的な結果に落ち着く。
わかってたのに。わかってたはずなのにぃ〜………これは自己反省だわね。
ところで………
「……………。」
肝心の彼女は、というと、相変わらずおどおどした様子で店内を見て回っていた。手には、何も持っていない。まだ何も選んでいないようだ。
う〜む?結構な時間妄想の鍛練をしていたと思うのだが。買いたいものが特に見つからないのかな。だったら別に買わなくてもいいけど…、何も買わずに帰るのが申し訳ない、って思ってるのかな?
あと、
何故か、たまにこっちをちらちら見てるような気がするのだけれど…。気のせいかな?
「………。」
…。
気のせいじゃなかった。今、完全に目が合った。
なんだろ。何か言いたいことがあるのかな?
「あ、ねぇねぇ。」
「………!!」
声をかけてみる。ビクッ!!、っと肩を震わせる彼女。…若干過剰反応気味。
「もし時間大丈夫だったら、ちょっとお話ししない?」
「…え………?」
うん、我ながら良い切り出し方だったと思う。引っ込み思案な子に、何か言いたいことでもあるの?的な切り出し方は、絶対タブー。それでは答えてくれない。
あくまでも優しく、もしよかったら、と、間口を拡げて、焦らせずに聞いてあげるのがベスト!
さ、どうかな?
「……………は、はい。」
うつむきがちなのはそのままだが、おずおずと、彼女がレジカウンターのところまで来てくれた。
「………あ、あの………何か?」
「ん?別に大した用事じゃないんだけどね。また、うちの店に来てくれてありがとう、って思って。それを言いたかったの。」
「そ、そう、ですか…。」
「どうだった?この間買った本。面白かった?」
「は、はい………。」
「カッコよかった?ナイト様。」
「は、はい………。」
「そう、よかった。」
……………。
いかん…話が止まってしまった。どうにかして、彼女が何を言いたいのかを引き出してあげなければ。たとえそれが、私の単なる勘違いだったとしても、私は彼女の言葉を引き出してみせる!
妙な使命感に駆られる私だった。




