24、開店中〜女性妄想〜
この作品はフィクションです。
「まぁ、前回とあまり代わり映えはしないけど、ゆっくり見てってね〜。」
「は、はい…。」
ペコリと一礼して、彼女はおずおずと店内を見て回り始めた。相変わらず奥ゆかしい感じだ。
さて。私は私でやることがある。後輩くんが、頼んだものを買ってここに到着するまで、何かと時間があるからね。
その時間を利用して、妄想力を深めるために妄想を行う。なんて合理的。
妄想雑貨店の店主たるもの、常に妄想力を鍛えることを忘れてはならない。妄想力のレベルに限界はない。鍛えれば鍛えるだけ、妄想力は無限に強くなるのだ!
…と、説明だか解説だかはこの辺にして。
題材は…どうしようか。せっかくだから、お客のあの子にしてみようか。
大人しい地味なメガネっ娘。とくれば、メジャーなのはギャップよね。一見大人しいけど、みたいな。
一見、大人しい地味なメガネっ娘。しかし、それは裏の顔を隠すための仮面でしかない。
彼女の正体は!
1、裏社会のドン。
2、正義のヒロイン。
3、国民的アイドル。
………う〜ん、いまいちピント来ない。どれもこれも、すでに使い古された設定って感じよねぇ…。
実は宇宙人!…とか、ぶっ飛びすぎた設定は素人考え過ぎて好きじゃないし、実はメガネが本体!、とかも、どこかのコメディで、もうすでに使われてる感じよねぇ。
寄生する相手を求めて、視力の悪い人間が集う眼鏡屋に潜む、メガネ型寄生生物!
…これもなんか、どこかで似たような設定が使われていそうよねぇ…。
いや、使われていてもいいんだけどさ?今のご時世、ありとあらゆる設定が出尽くしちゃってる、って言っても過言じゃないし。その中で、何を表現するかが大切なんだ、ってことは理解してる。
してる、けどさ。でもやっぱ、産み出したいじゃない?これぞオリジナル!!って感じの斬新な設定。
斬新な設定が産まれれば、それがまた、新たな妄想の世界になって、その中で、様々な考えや価値観が妄想の枝葉を伸ばしていく。
妄想、っていうのは、無限に広がる世界の集合体なんだ。無限が集まって、やっぱり無限。これ以上ない、ってくらいの、無限。
その無限の中に、自分の世界を持つ。持てるんだよ?世界を。すごくね?それって。
う〜ん。
ギャップにこだわるから新たなものが生まれないのかな。あえてそのまんま、みたいな設定の方が、意外と面白かったりするのかな?




