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21、開店中〜スーツとセレブ〜

この作品はフィクションです。


…びっくりした。


まさか、49800円を、安い、と言われるとは、思ってもみなかった。


この人………、セレブか?セレブリーマンなのか?青年実業家なのか?親の七光りなのか?末は大臣なのか?


………なんか逸れたわね。





「あ、はい〜。このお値段で、大丈夫ですよ〜。なんでしたら、50000円でも60000円でもお支払いいただければ」

「いえ、49800円なら49800円で。」


…ま、そりゃそうだわね。


「は〜い。ではこちら、お買い上げ、ということで、よろしいでしょうか〜。」

「はい。」

「ありがとうございます〜。」


…まぁ、ちょっと手間はかかったけど、結果的に高額でスペースを取る品物が売れたのだから、良しとしよう。




その後、配送先を書いてもらったり保証書の説明したり、なんやかんや面倒なことを終えて、




「ありがとうございました〜。」

「はい、ありがとうございました。」


おまけのノミクジラキーホルダーを手に、男性は店を出ていった。






……………。






…あの人の場合は妄想というより、実際にやってそうな感じがするわね。


自宅の敷地が異様に広大で…、いや、別荘かな。別荘ね。普段は会社と家を往復するだけの生活を続けていて、機能性最優先のマンションに住んでるんだけど、たまに休みが取れると、郊外の別荘に向かうわけよ。そこには白壁の邸宅と広大な庭。敷地内に、テニスコートとプールがあるわけね。


そのプールがポイントで、遊泳用の広いプールじゃなくて、ダイビング用の深いプール。勿論、広さも兼ね備えてるけどね。そこに、彼は、海底ロマンを再現しているのよ。


おそらくあの宝箱は、手元に届いた後、最先端な何らかの防水加工を施されて、そのプールの底に沈むのよ。海を感じられるものを探していたのも、注文が細かかったのも、全ては、リアルな海底ロマンを再現するため。


そして彼はダイビング仲間を集めて、皆で宝箱の元へと潜っていくのよ。勿論、途中にはたくさんの危険が待ち構えている。沈没船の亡霊とか、恐怖の海の魔物とかね。その辺も、最先端のなんやかんやで表現されているのよ。


そして、艱難辛苦を乗り越えてたどり着いた宝箱の中には、きっときんきんに冷えた外国産のビールが入っていて、地上に戻った後、みんなで乾杯しながらバーベキューをしていつしか夕暮れを迎えていくの。






なんて優雅な休日!くっそー、羨ましいぞ七光りセレブ実業家!!











「………何をぶつぶつと呟いているんですか気味悪い。」



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