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VRMMO?

 さあ、この三つのうち二つは小説家になろうに登録していなくとも知っているかもしれない作品です。


 まず一つ目、この作品はこのサイトではなく個人サイトに投稿されていたものだったと思います。(この時点で知っている人はお察し)

 主人公がβテストに選ばれたおかげで、他の人より多い知識と経験、偶然手に入れた固有スキルを使ってデスゲームを駆け抜けるお話です。

 熱いバトル要素、主人公の特別感と強さに燃えつつ、敗北からのスタイル変更からピンチの覚醒と辛い展開の中に少年漫画的な魅力を詰め込んだ、というのが魅力の作品です。


 ここで使われるお約束は、

 ・主人公がVRMMOゲームをプレイできる中高生、という特殊な条件にするため、かつ周りよりもこの世界に慣れてますよとなる「主人公はβテスター」というお約束。

 ・そして、主人公は一人しか所有者のいない固有スキル持ち、ソロプレイヤーである。

 ・助けた美少女に好意をもたれる。

 ・ヒロインをめぐってかませポジの実力者と戦い、圧倒する。

 ・自身のありかたを否定されて、実力と周囲の信頼で黙らせる、周りの有力者に積極的にかばわれる。

 ・個人的な恨みで、周囲を害するギルドに戦いを挑む。

 とまあ、こんなところでしょうか。

 ありがち、と否定するにはどれも主人公に感情移入しつつ主人公の強さに燃えるには王道の展開として盛り上がる展開なのではないでしょうか。


 ネットにおいては主人公がガキすぎるなどと叩かれていますが、中学生ならばそんなものではないだろうかというのが私の意見でございます。

 私がこの作品を好みど真ん中でないとするならば、レベルとスキルに任せた力押しの戦闘と、ハーレム要素の作りについてですかね。

 小説の方では、序盤の時系列と小説の順番が入れ替わっており、そのせいで辛い結末が見えているのにハーレム探しみたいな後から明かされる中盤の出来事が辛かったというのが本音でしょうか。



 VRMMOのお約束というか、テンプレを一気に押し上げたともいえるあの作品が、ネットで無料で公開されていたのは凄いと思いますね。

 映像化するならば、ああいった戦闘シーンがカッコいいものの方が良いのでしょう。知略よりも剣や魔法のアクションの方がアニメでは盛り上がりますからね。そういう点でも、この作品は凄いなあ、と思うわけです。

 まあ、上に書いたような理由で、これから紹介する二作品の方が好みではありますが。





 次に紹介してするのは、猫耳を愛したあの小説。これだけで、どの小説のことを指すかわかる方もいるでしょう。この作品は厳密にはVRではあってもMMOではありません。

 一人で黙々と進めていくゲームの中に取り込まれた主人公、ゲームシステムとスキル、そしてプレイヤースキルにバグを組み合わせてストーリー改変と元の世界に戻るために奮闘します。


 この作品の魅力はなんと言っても猫み……ゲフンゲフン、作り込まれた酷すぎるゲーム内容です。

 作り込みすぎて、本来気持ち良くゲームをするために無視されてきたご都合主義的な部分を改悪し、人に嫌がらせをするために作られたとしか思えないストーリーは読む人を引き込みます。

 この作品に「お約束」はほとんど存在しない、と言えるのではないでしょうか。せいぜい主要キャラの女性率が異常に高いぐらいで。

 文章だけは、これまで紹介してきた作品と比べれるとやや崩れた印象を与えますが、ネット小説としての一人称と三人称の使い分けは軽いタッチで読みやすく、ハマる人にはとことんハマる小説でしょう。

 強さにゲーム的要素はあれど、何一つとしてご都合主義もなく、さらには単純な強さではどうしようもない敵ばかりが立ちふさがります。

 それはゲーム時代から何も変わらず、あまりに多いバグは凶悪なストーリーとタッグを組んで主人公とその仲間を殺しにかかります。

 時折透けて見える、ゲーム製作陣の意図が悲壮感とこんなゲームになったのも仕方ないと言える説得力、そしてこのゲームなら実際にはありえないクソ仕様も諦めがつくという説得力もあります。


 主人公が世界をゲームとして、キャラをキャラとしてみなしつつも、周りの人間を意識のある存在として大切に思っているところも特徴でしょうか。

 ヒロイン勢も、程よい距離感を保ち、どのキャラも違う思いと考えで主人公の側にいます。罪悪感、信頼感、軽い依etc……。

 何と言っても主人公の性格です。私たちがゲームで何気無くしている効率重視を軽く悪化させたような台無し展開(褒め言葉です)に、周りのキャラが時には怒り、時には呆れながらも相互にツッコミ役になるコメディーとしての魅力もあります。思わせぶりな発言からの情趣を解さない超現実主義に、無駄なことや主人公にありがちな王道的情けなどによっては動かない、無駄なことなど何一つとしてしないのだというシビアな行動原理に笑わせられます。


 主人公とゲーム、どちらに対しても奇妙な信頼を抱ける物語です。


 この人特有の、ミスリードに伏線回収、多彩なスキルとバグの華麗なパズルのような結末に魅せられることでしょう。



 最後に紹介させていただくのは、デスゲームでもただのゲーム日記でもない、ゲームシステムに支配された異世界トリップとも言えるものの人気作品です。

 こちらも好みど真ん中で、 「完成している」と思う作品です。もっとこうしたらいいのに、などと言えそうにもありません。


 この作品もまた、異色の人気作品であると思います。

 VRMMOの世界に跳ばされる物語のお約束を幾つか盛大に外しているのが特徴と言えるでしょう。

 まず、こういった物語は跳ばされた瞬間から始まることが多いのですが、この作品は跳ばされてからしばらく経ってからが冒頭です。


 異世界に跳んだというのに、死に戻りが可能という、得体の知れない世界から逃がさまいとする力が働いています。

 デスゲーム特有の、死ねば終わりの緊張感も、もしかすると死ねば戻れるのでは?という希望もありません。

 緩やかに正常さを失うことを恐れて、世界に叫ぶ主人公の慟哭が胸に響きます。


 この作品の凄いところは、やはり主人公はこの人しかいないと思わせながらも、他のキャラクターも活躍していてかっこよく、生き生きとしています。

 プレイヤースキルに知識と不遇職扱いのコラボは、主人公を強いだけの存在から自分のプレイスタイルを誇りとするゲームプレイヤーとしての矜恃が垣間見得てきます。

 主人公が腹黒扱いで、絶妙なポジションにいるのもなんとも楽しいです。ゲームプレイヤーとして強い、ではなく、替えのきかない存在として愛され、軽んじられ、恐れられ、敬われる。そんな在り方はなんとも泥臭くありながらもそこはかとなく厨二くさくて好きです。(ここでの厨二くさいというのは褒め言葉で、またいつか中二病についてもお話ししましょう)

 強い信念と覚悟を胸に、ゲームの世界を一つの異世界としてその深遠に近づこう、生き抜こうと決意する主人公を軸とした見事な群像劇と言えることでしょう。

 この作品の作者様、無事かなあ。

さあ、VR物についてはこれで終了です。

次回からは異世界トリップ物のお約束についてお話しましょう

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