VRMMO
VRMMOの主人公の強さについてのお約束
とりあえず、VRMMO物の話をしましょう。
VRMMOとは知っている方も多いでしょうが、仮想空間に入り込むタイプの、現実にはないゲームの種類ですね。
SF?ファンタジーじゃないのか?などと取り沙汰されることもあるこのジャンル。実際は冒険、SF、ファンタジーと幾つかのジャンルにまたがって投稿されています。
今回は、VRMMOのゲームに良く似た世界にトリップや転生するものを除いて話しましょう。
コネで手に入れた、妹に誘われた、βテストに当たった……理由はそんなところでしょうか。主人公がVRMMOゲーム内にログインするところから物語は始まります。
VRMMOの利点は、同時に欠点でもあります。
主人公の強さを、簡単に引き上げることができる、というのか利点でありつつ、それは所詮、ゲームの強さでしかないと言われればそれまでです。どうしてもゲーム上の物語である以上、現実の問題というものは立ちはだかってくるものです。
VRMMO物で主人公のゲーム的な活躍要素というと、大きく分けて四つになります。
一つ、プレイヤースキル、知識や経験などです。
プレイヤースキルには、素の運動神経とゲーム慣れの二つがあります。前者はVRゲームであるために、「これまでゲームはあまりしたことなかったけど」という人物が強くなりやすいのではないか?ということですね。後者はどんなにリアルでもゲームであることを自覚してプレイすることで、ゲームイベントであったり戦闘システムの理解が早いといった部分でしょうか。
主人公にプレイヤースキルがあるという設定にすることで、課金やレベリングに依存しない活躍が見込めます。つまるところ、主人公自身の強さとして感じやすくなります。
大半のVRゲームもので組み込まれる燃える要素の一つです。
後述の強さに組み合わせることで、規格外の強さを叩き出させるのにも一役買ってくれます。
二つ目が極振りと呼ばれるものです。
これは、通常は複数に分けて伸ばしていくステータスをどれか一つに特化させて伸ばしていくプレイスタイルのことです。
現実のゲームでも、パーティーを組む場合はそういったプレイスタイルを取る人もいると聞いたことはありますが、「なろう」の小説の多くではソロで活動することが多いですね。
じゃあどうやって戦うのか。それが前述のプレイヤースキルで補ったり、違うスキルをとって補ったりするのです。
極端な場合、補うのではなくて活かしてさらに特化させることで、相手に対応させないというものもあります。
私が知る物だと、攻撃特化、防御特化の回復などでしょうか。魅力や運なんてのも聞いたことがあります。
三つ目、地雷スキルや不遇スキルと呼ばれるものです。
これはある程度情報が出回った時に、主人公が無知や楽天家である場合に起こりうるプレイスタイルです。
ゲーム上、使いにくくて上位互換にとって代わられたりするスキルや職業のことを言います。
普通はゲームバランスの調整のために、完全な上位互換が出ないようにしたり、使い道を残したりするものではありますが。序盤であるために検証が浅く、情報も正確ではなかったということもあるかもしれません。
まあ物語だとデメリットが強かったり、主人公だから扱えたとかそんなこともありますが、多くの場合、主人公はこういったマイナーなものを組み合わせたり、プレイヤースキルで活かすことで、ユニークな戦い方を見いだします。
すると、他にはない戦い方であるため、人目を引いて評判になったりするところまでがお約束です。
私が知るだけでも、銃、空を飛ぶ、全属性対応、弓、格闘、野獣プレイetc……。
四つ目、これが感情移入からの手っ取り早いレベリングに繋がるのですが、固有スキル、称号です。
主人公が何らかの偶然や、作為的なものによって特別なスキルや称号を得ます。
その効果は様々です。ピンチに覚醒するものであったり、武器などのゲームシステムに干渉するものであったり、戦いや経験値に補正をかけるものであったり。
一番有名なのは二刀流などでしょうか。
人気のあるVRMMOの小説を読んでいると、多くの場合これらの要素の二つ、三つを組み合わさって主人公の特別を形作っています。
そして大抵の場合、普通のモンスターでは力不足になり、イベントやボス、対人戦などでその強さが出ることがあります。
他には、レベルに見合わぬ強さを得てレベリングを高速で行うことによるステータス増強なども主人公最強への道でしょうか。
現実ではどんなに強い相手でも、首をはねれば死ぬし、刀の通らない肉体など見ることはあまりないでしょう。
しかしゲーム内においては、前述の特別な要素がない限りはレベル差というものは早々ひっくり返すことのできないものです。
これらの組み合わせによって、主人公が活躍していくと思われます。
もちろん、生産特化など戦わなくともゲームは楽しめますし、そういった人気の小説もありますよね。
次に、VRMMO物の利点として、主人公の強さや異常さが伝わりやすい、というものがあります。
強さの数値化やイベントや対人戦トーナメントなどの優秀者として名前をあげられるのはもちろんのこと、特殊な戦い方で実戦レベルまでの功績をあげていると掲示板で話題になるということです。攻略速度やソロプレイなどもそうした異常さを目立たせる要因ですね。
閑話などで、大衆からの反応を掲示板形式にして書くことで、主人公の異常さが強調されます。
例えば、主人公が空にいるドラゴンを爆発させたとして、それを見たものは信じざるを得ないでしょう。その場合は、「すげえ……」などと直接の賞賛か、周りの反応だけで主人公を見なければなりません。
しかし、主人公のいない場所で、匿名の人が話すことによって、主人公の偉業は信憑性を失います。
すると、「そんなことがあるわけないだろ」とか、「俺も見た」などと複数の視点から常識的な回答を期待することができます。
そして物語の中盤からは、主人公自身が表で有名になることで、二つ名や「○○だからな……」などとやや失礼とさえ思える「呆れ」や「諦め」の感情も見ることができます。
ゲームでありながら、まるで異世界にトリップしたかのような臨場感を味わえる、それがVRMMOの醍醐味というものです。
これも難しいジャンルで、しっかりと物語を作ろうと思うと、ステータスの仕組みや百を超えるスキルや職業、作られた製作陣の背景から人体への影響など、VRMMOのゲームを丸々一つ作ることになると言えるでしょう。
デスゲームでない場合、主人公の性格や物語の構成を失敗すると、ただのゲームプレイ日記のようになって、山なし谷なしの物語として起伏に欠けるものとなってしまうでしょう。まあそれはそれで需要はあるものですが。物語の魅力をコメディー的にして、ドキドキハラハラでなくしてしまうのであれば、それも良いのかもしれません。
私としては、どうやって完結させて良いのかわからないので怖くてまだ手は出せていませんが。
ゲームだからこそ、ゲームとしての面白さが重要です。しかしその一方で、主人公をゲームのしがらみから引き剥がすことで主人公の独自性を生み出し、ファンタジーのように楽しませるというのもまた難しい要素ですが。
女顔で機械が誤作動を起こしてアバターが女になるとか、大規模ギルドや生産ギルドの存在など、他にもお話したいお約束はあるのですが、これぐらいにしておきましょうか。
次回を異世界物のお約束か、実際の作品を名前をあげずに取り上げて参考に魅力と欠点について話すかで迷っております。
先に聞きたい方があれば、どうぞ感想の方で言ってください。
その他にも、気になるお約束の理由や、辟易している展開などあればぜひ教えてくださると嬉しいですし、それらも題材として使って書いていきます。