題名《タイトル》
前回であえて触れなかった題名、もといタイトルのお話です。これだけで一話になるとは思わなかったとです。
これは作者向けの話になるのですが、小説情報を見る上で、最も左右されているのが題名なんですよね。多くの考察で言われていることですが、わざわざ外すこともないでしょう。ネット小説って基本的に挿絵もなければ帯とかもないですよね。だから検索やランキングで小説を見る時に、読者が一番に目にするのが題名で、二番目はジャンルです。ジャンルはその作品の特徴を表すというほどでもないので、結局一番は題名ですね。
というわけでタイトルについてのお話をわざわざ挿入しました。
題名には幾つか種類がありますが、代表的な分類を三つほど。あくまで個人的な分類ではありますが。
一つはあらすじ紹介型。文章のようにしたり、訴えや願望。主人公のスタンスなどを書くことで簡潔にあらすじを紹介するものです。ラノベの長文タイトルはこれにあたるのが多いですね。妹が兄妹物のエロゲをしていたとか、姉夫婦が死んで、その三姉妹を引き取る話とかですね。シチュエーションの説明もここに入れておきましょうか。
なろうだと、ファンタジージャンルによくある、よくある「主人公の説明」と「異世界や召喚、転生などの舞台、状況」「願望、目標、物語の趣旨」で構成されたタイトルなどがわかりやすいでしょうか。
次は一番インパクトのあるものを持ってくるものです。主人公の名前や要素の組み合わせや、世界、舞台の名前を持ってくるものです。重要キャラの名前を出すのもよくあります。普通の人間には興味がないと宣言した女子高生の話や、国民的日常アニメの海産物家族、未来の猫型ロボット、下品な幼稚園児の話、男装少女の二輪旅とかもこれに含まれます。○○伝、○○物語、○○戦記などの舞台名パターンも聞き覚えがあるのではないですか?
なろうにおいても、召喚された男がいきなり城から逃亡して自分だけの力で成り上がる「◯◯戦記」や、異世界の教育制度を見直す某小説コンテストで賞もとっている「◯◯の学び舎より」などがあり、VRMMO物のタイトルなどにも多いです。
具体例として「鮫島くんのおっぱい」など。こちらはヒロイン(物語序盤は男)の「鮫島くん」におっぱいがついてる、という重要キャラ、重要ワードで構成されております。
最後が作品で一番伝えたいことや、名前自体が伏線や印象的な場面のキーワードになっているものです。重要な物の名前にするときは、二番目との複合という形になりますね。なろう内においては一番目との組み合わせで、こちらをメイン、サブタイトルに一番目を持ってくるというのが多いです。かくいう私もサブタイトルとメインに分かれています。有名な農業高校の漫画や、海賊漫画、ちょっとオタク向けにいくのなら、金髪美少女が好きすぎる女子高生の話とかもこのパターンですね。
それぞれにメリット、デメリットがあります。
一つ目は簡単です。本来プロローグやあらすじで紹介するべき内容をタイトルに持ってくることで、好みかどうかの判断をしてもらい、好みであれば読みやすいようにしてあります。
こういったものでも、期待を煽るようなものやわざと誤解を招くような表現を使ってあるものがあり、読者の選別を行っているものもあります。ボケたらツッコミを入れてほしいアイドルの話がそうだった覚えがあります。ラノベ、アイドル、ツッコミのキーワードで出てきます。
デメリットとしては、長文タイトルに慣れていない人は手に取りにくいかもしれませんね。そしてタイトルで選ばせてしまうため、本当は好みなのに食わず嫌いになってしまうというのもあります。例えば、とてもしっかりとしたバトル物なのに、ヒロインの可愛さに言及したタイトルだったりすると、「あっ、ラブコメか。今はラブコメの気分じゃないんだよな」となって読まれなかったりするかもしれません。
そして二つ目のタイプのメリットは、タイトルにしたものの作り込みが高ければ高いほどにタイトルに対する印象が良くなることでしょうか。作品世界に入りこみやすいパターンです。
覚えやすかったり、わかりやすかったりですね。付けるのも簡単です。タイトルが覚えやすい、他のものと間違えにくい、というのは重要だとか思いますね。
なろうでは関係のないことですが、世界観や舞台の名前を説明することで、どんなジャンルか説明するという効果もあります。○○学園の日常、や○○高校△△部などと付けると、ああ、学園物か、部活系か、などとなりますしね。
ただ、他の二つと比べて中身の面白さや初見のインパクトには欠けると思います。タイトルは単なる事実であり、舞台や重要キャラでしかないため、意味や思い入れに欠けるといったところになります。あくまでこれは読者側の都合であり、作者にタイトルを考えていないと言うものではありません。
最後のものはとても個人的な意見としては、最もかっこいいと思うパターンです。
タイトルにギミックを組み込むことで、回収した時の場面がとても印象的になったり、物語の主題を最初に知ることで作品の雰囲気を感じとったり、主人公の信念やあらすじに対する見方も変わります。
タイトルに深い意味を持たせることで、ストーリーの補助的な意味合いも持ちます。
こちらの問題は、あまりにわかりにくいタイトルにして、タイトル回収までを長くするとタイトルの意味合いが薄れたりするところでしょうか。
これらの亜種として、最初から省略系というのがあります。
本来ならば伏線や意味を持つものであったり、長文系タイトルであるところを省略したものを最初から正式名称としてしまうというものです。
ゆるふわ四コマや、ほのぼの日常系などであるひらがな4、5文字にエクスクラメーションマークや☆を加えることで見た目のバランスをとったりしているものが多いです。
なろうで私が読んでいるのだと、転生して双子の妹が好きすぎるシスコン幼児のお話とかですかね。
こうして見てみると、名は体を表すと言いますし、題名がよりその作品の内容に合ってないとダメだなーとは思いますね。
どんなに魅力的な名前でも、その名前につられて読むのだから「甘く優しいキスを」なんてタイトルがついているのにバリバリのコメディーだったり、「あの日の夕焼け」なんてタイトルなのに序盤からバトルを繰り広げていたりすると、先入観との齟齬がマイナス印象になるんですよね。あっ、こんなタイトルならきっとこんな物語なんだろう、なら読みたいな、楽しみ。そんな風に思って開いた作品が全然違う作品であった場合、よほど実力があって一話目からぐんぐん惹きつけるような作品でもない限りは途中でやめてしまったりしますよね。
なにが言いたいって、題名はインパクト、魅力、覚えやすさの三拍子を備えながら作品の魅力を説明してくれるものであればいいなと思うわけですよ。
題名はわかりやすくつけよう!というお話でした。