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一話『少女A ~そして…めぐり逢い ~』  シーン1

地の文が変わっているので、少々慣れが必要かもしれません。


作中に出てきた事象に関しては、ある程度あとがきで補足しますのでそちらもご覧ください。

―――――――て下さい。


「・・・んぁ・・・」


―――――起きて下さい。


「もう、着いたのか・・・」


いえ、まだ二駅ほど先ですがなにか?


「お前な・・・寝る」


あら、せっかくの物語のスタートから寝てばかりでは絵にならないでしょう?そもそも起きたのはアナタであってワタシのせいではありませんので、そこのところはお間違えのなきよう。


「・・・うっせ」


それからいつものことではありますが、今のアナタ、傍から見れば非常にイタイタしい限りですよ?まるで宇宙からの電波と交信しているかのようにお一人でブツブツと、ぷーくすくす。


「・・・」


あらあら、拗ねてしまいましたね・・・まぁ機嫌を直すためにも景色をご覧下さいな。さすが噂の観光地、夕日に照らされた桜並木と果てしなく広がる田園風景が列車の古びた雰囲気と見事にマッチして、素晴らしい旅愁を感じさせてくれますよ。


「三月半ばの、一面土色の田んぼと木に何を感じろって?旅愁どころか哀愁まで漂ってきそうだ。」


あらあらあら、やっと目が冴えてきましたか。舌の根も潤って独り言にも磨きが・・・あぁ拗ねないで。人気の観光地行きの列車と言いましても、もう陽が落ちかかっている上に普通列車。この車両にいる人なんて数人だけですから耳にケータイでも当てておけば誤魔化せますよ。今止まった駅もドアが虚しく開閉しただけでしたし。


「そのほうがもっとイタイタしいだろ・・・」


と言いましても風景もダメ、ノスタルジックな車両の内装も黄ばんだ広告も見飽きたとあっては、ワタシと話す以外することなんてありませんでしょうに・・・そうですね、ここらで回想などどうでしょう?アナタ自身ここまでの経緯が頭の中で整理できていないようですし、座席の端の鉄棒を温める作業よりは有意義です。暇つぶしにはちょうど良いでしょう?


あ、それと同意は必要ありませんよ、勝手に始めますから。


――――――――事の始まりはたったの二日前でしたか。恋人も友達も、携帯もパソコンもないアナタは、始まってしまった春休みの長きに気を揉みつつ、仕事で遅くなる母君を一人マンションの一室で待ち続けておりました、このマザコンめ!


「・・・寝ていいか?」


さてはて陽もとっぷりと落ちたころ、待ちに待った母君からの電話が! アナタは目を輝かせ受話器に飛びつきましたええそうです異論は認めません。


・・・その内容というのが中々衝撃的で、確か『・・・あ、親次郎さん?遅くなってすみません。ところでお母さん、結婚しようと思うんですけど・・・』といった感じでしたか、アナタの唯一の特技と言ってもいい精密記憶が光りますね。声色まで脳内で甦ってくるようです。未だ話がよく呑み込めないながらも聴いた電話の内容をまとめますと、


・今日の取引相手の社長にプロポーズされた。


・少し戸惑ったけど、いい人なのでOKした。


・親子ともども相手の家にお世話になることになったので引っ越しの準備を始めておいて欲しい。


なるほど、わからん。そもそもアナタの母君は人に頼る事とは無縁の努力家な上、過去のあれやこれやから男性や恋愛といったものから距離を置いているはずでした。それがいきなり結婚?&同棲?アナタは大きな疑問と嫉妬・・・激すぃい嫉妬!に駆られました。少しくらいツッコんで頂いた方が話も弾むのですが。


「・・・」


否定できない部分もある、といったところですか。無理もないでしょう、母子家庭でボッチなアナタが現在唯一心を開いている相手ですから、おっと私がいましたか。まぁワタシはアナタがどれだけ心を閉ざそうと離れることはありませんのでご安心ください。どうせワタシは都合のいい女よ、プンプン!


「・・・」


話を元に戻しますが、混乱の最中にあるアナタをさらに混乱させつつ、あるいは納得させる台詞が電話越しの母君から告げられました。『それでお相手なんですが・・・多分親次郎さんも知っていらっしゃると思う方です、あの』・・・あら、いいところですのに。駅に到着してしまいましたか。


 当たり前のようにに立ち眩みにならないでいただけます?しかも電車の停車時の慣性にまで負けていますし。向こうの席のおじいさんですらも、つり革に掴まらずにドアに向かっていますのに。いつもながら、アナタの病弱さには驚き桃の木山椒の木ですね。 え、古い?いえいえわざとですよ。だってほら、そこの看板にも。


―――――――『振り返るまち、思い出すまち。ようこそ懐古特区へ。』


はて、『懐古特区』などという名前が付いたのはつい数年前だったはずですが、やけに黄ばんでいるような。あぁ、これも街づくりの一環ということでしょう。おそらくこの列車の内装も含めて。駅自体に関しましても非常にノスタルジックな雰囲気ですね。見たところ古びているのではなく、わざと古い形のまま建て直しているようですし。


「切符は、っておいおい・・・」


あらあら、駅員さん爆睡しちゃってますけど大丈夫なんでしょうか。まぁ、先方も既に迎えに来ているはずですし待たせるのも失礼ですから、切符はカウンターに置いておいて早いとこ出ましょうか。


「・・・こりゃ、凄いな。何十年代の風景なんだ?」


ワタシとしたことが、一瞬言葉を失ってしまいました。


 感想は、圧巻の一言に尽きますね。今時では映画でしか見ないような街並みが、車が、そして人が。バカバカしい例えを用いますと『過去にタイムスリップでもしてしまったかのような』とでも言えばよいのでしょうか。夕日の背景がこれまたノスタルジーをかき立てます。これを見て、世の大人たちは懐かしさに感涙するのですね。若干17歳のアナタにはピンと来ないかもしれませんが。そもそもアナタ、1つでも懐かしいと思うものがお有りで?


「ガイドブックでも持って来ればよかったか・・・」


あら、見事なスルーですこと。 前に観たテレビの特番で、ここ懐古特区は、区域ごとに大体の年代が設定されていると説明されていましたが・・・それこそ、この街をつくった本人に聞かれてはいかがでしょうか? 確か駐車場で待っていると、と言いましても・・・ちょっと、人の波に押し返されて駅の方に戻ってますよ、この軟弱者!


「Hey! こっちだこっち!」


ほら、呼んでいらっしゃいますよ?頑張って前に進んでください。


「んなこと言っても、ちょっと、通してくださいっ」


そんな弱々しい声で聞こえるわけがないでしょうに、まったく。


・・・そしてこちらの事実もまだまだ夢のよう、アナタの感性に合わせますと嘘のようですね。


Laylaレイラ Thompsonトンプソン、初めましてだけど、顔くらいは知ってくれてるかな?親次郎くん」


この場合、差し出された手を握るのが先なのか挨拶をするのが先なのか悩んでしまいますね。この場合は現代の若者らしく同時にこなしましょう。


「・・・初めまして、えぇ、顔どころか時の人ですから」


さてさて快活に笑うこの方こそ、アナタの母君のハートを奪った張本人にして今を時めく一大企業『InDiGoo』起業者且つ代表取締役、ここ数年の超人気観光スポット『懐古特区』プロジェクト考案者且つ最大の出資者。ついでに、最近自ら会社の新商品のCMに出演した際は、その日本人離れした、実際元はアメリカ国籍でしたか。美貌で世の男どもの視線をかっさらっていったそうな・・・アナタに勝てる要素が一つもありませんね。え、性別?そんなものは当人間では些細な問題なのでしょう。


「はははっ、プライバシーも何もあったもんじゃねーな」


 黒髪と褐色気味の肌に白い八重歯が映えますね、さてさてアナタのそのやらしい視線はいずこへ・・・ほぉぉ、ボリュームが足りないっ!聞きましたか皆様っ!!ここにムッツリおっp「どした?頭押さえて。長旅で疲れた?」「いえ、貧血気味なもので・・・」


・・・コホン、こほん、おまけにこほん。あまりにからかいやすかったもので、ついつい取り乱してしまいました。それにしてもこの方、覗き込んだ上目遣いといい笑顔といい、アナタとそれほど歳が離れているとは思えない容姿と行動ですね。それはアナタの母君も同様ですが、就活中の女子大生のような母君に対してこの方は、そこはかとなく夏休みの女子中学生のような雰囲気が・・・この感想は失礼に当たるのでしょうか?


「まぁ乗んなよ、懐古特区(このまち)はじめてなんだろ?家はここから真逆だから、家まで送るついでにちょいと街を回っていこうや」


 友達の親に送迎されたことなどなく、養護教諭に送られた経験しかないアナタのことですから後部座席に乗るものと思っていましたが、今回お迎えの車は2シーターでしたね。社名の通り鮮やかな藍色の、街の名の通りレトロな・・・なんでしたっけねこのスポーツカー、見覚えはあるのですが。駅に向かう人たちも目を引かれていますから、それなりに有名な車なのでしょう。


「いやー、びっくりしたろ?いきなり結婚だなんて。」「えぇ、まあ・・・でも、母の決めたことですから」


ワタシとしては、少しくらい悔しがっていただいた方がからかい甲斐があるのですが、アナタに決定権はありませんから仕方がないとも言えますね。書類上結婚は不可能な筈ですが、どうします?苗字がトンプソンになったら。


「ここは50年代から60年代のゾーンなんだ。ここいらは完全に観光用のゾーンだから、駅を使うとき以外は来るこぁたないだろ。今から通るのは一番の大通りだけど、見どころはほっそい路地の方なんだよなぁ、」


見せられないのが残念、といった話し方ですね。


「この街に住むわけですし、機会があれば見に来ますよ・・・でもトンプソンさん、」「せめてlaylaさんって呼んでくれよ~、家族なんだぜ?」


やったねしんちゃん、家族が増えたよっ!・・・まだ実感はなさそうですが。


「、レイラさん、こういった民家ばかりで観光地としての収益はあるんですか?」


名前一つにしましても発音が違うものですね。だって日本人だもの、という言い訳は通じませんよ?この方日本語も流暢ですし。そういえばこの方、日本とアメリカ、どっちの方が長く住んでいらっしゃるのでしょうね?


「ははは、照れてるな?やっぱアイちゃんに似て可愛い顏してるなぁ~。 で、儲かるかだったっけ?」「えぇ、全てが土産物屋というわけでもないでしょうし。駅前にあったデパート風のビルや路面電車とかはわかりますが・・・」母君のこと、アイちゃんですって。もうラブラブのようですね、ねっ!


あらあら卑しい質問ですこと。育ちの悪さが滲み出ますねぇというとアナタは、自分ではなく母君を馬鹿にされたと思って怒るのでしょうね。


「ま、一見すりゃそう見えるかもだけど・・・例えばさ、」さり気ない操作の一つ一つが非常にスムーズですね・・・運転、お好きなんでしょうか。


「今過ぎた家はレトロな家具や家電を展示する博物館なんだよ。で、その周りにはまだ空いてる賃貸住宅や貸店舗。元からあった家も、ああいうレトロ風に建て直したりリフォームするなら補助金が出ることになってる。あぁ安全基準も満たした上でな。それとあっこらへんは使われて無かった倉庫の跡地で、今だって誰が住んでるわけでもない、何軒かの家が丸ごと旅館なんだよ。誰が考えたのか知らないけど、回覧板に見立てたサービスやら食事やらの要望書を受付代わりの家のポストに入れるとご近所さんみたいに係員がやってくるんだとさ、これ余っちゃったからおすそわけ~なんて言って。」


「レイラさんが考えたわけじゃないんですか?」「私は街の奴らに『こんな街興しなんてどうだ~』なんて提案しただけだよ、しかも酒の席で。私は母さんから聞いた『懐かしい日本』しか知らなかったしな。それがいつの間にか持ち上げられて、この車も『ヒーローにはこの車だ~』なんて街のみんながくれたもんなんだよ。わざわざレストアしてから私の好きな色に塗装し直して。」


カラカラと笑いながらシフトチェンジ。この必要なのかどうかわからない7つのメーターやら木製のハンドルやら、それにエンジン音からして今の車とはやはり違った趣を感じますね。それと今の言葉でどこでこの車を見たのか合点が行きましたね、どこぞの地球防衛軍の車でした・・・アナタの歳でそれを知っているのも少々不思議ですが。


「母方が日本人だったんですか?」


よくよく見ますと、確かに日本人らしさもしっかりと感じられる顔立ちですね・・・ところで、あまり見つめていると変態に思われますよ?ああ変態でしたか。「んな理不尽な・・・」


「? いや、日系ベトナム人だよ。ナム戦中にロリコンDaddyがまだ16のMammyに現地で惚れ込んで連れて帰って来ちまったんだ。で、Grandmaが話してた日本のことをMammyから伝え聞いたわけさ。」


ダディーとかマミーと言われるとどこか小さい子供のような感じを覚えますが、向こうでは違うのでしょうか・・・非常に似合っているのでツッコむ必要は無いと存じますが・・・ロリコン?空耳でしょう。


「それで、日本に憧れてこちらへ?」「いやいや、それが恥ずかしい話でさ、」


今の横顔、母さんに少し似てる――――なんて思いませんでした?


「留学、してきたんだよ。工学の勉強しにさ。でも年上の彼氏に夢中になって勉強もほったらかしで・・・16歳でさ、夢見がちな年頃だったからなぁ。それなりに有名な会社の社長で、優しかったから。この人に添い遂げるんだって、乙女チックなことを考えてたわけ」


「で、2年くらいイチャイチャしてたらそいつの子供を妊娠して、そしたらコロッと捨てられた。あいつ嫁も子供もいたくせに私に、そのこと隠して付き合ってやがったんだぜ?」


まるで笑ってくれと言わんばかりに、酒の席のように軽々と話しますが、鈍いアナタにも少しばかり酷なようですね。


「おいおい、しょぼくれた顏すんじゃねぇよ。こっからが私の華麗な逆転劇なんだから」「え?」


「誰がこんなこっ恥ずかしぃ~ままでアメリカ(ふるさと)に帰るかよ。私はそいつから、口止め料代わりにあいつの株を金をちょっとばかし奪ったんだ。そっからだよ、それと5000円で譲ってもらった中古のパソコンから。子育てしながら株取引で資本を集めて、ネットで暇そうな変人を集めて会社を興した。それが今の『InDiGoo』なわけさ」


「しかもだ、そのクソ野郎の会社どうなったと思う?」「さ、さぁ・・・」「今じゃうちの傘下だよ、ほら、アイちゃんが務めてた会社。あんな奴の下に置いとけないから、アイちゃんは昨日づけでうちの会社に転属させてやったよ、っはっはっは!」


・・・やってやったぜ、とばかりに大笑いされてますね、実際中々痛快な話ではありませんか。


それに今の話で、アナタがこの方と母君が似ていると感じた理由が少しばかり解せましたね。


「そんな苦労を・・・、」「その言い方はすきじゃないなぁ、」


アナタの母君なら、なんと言うでしょうね?


「そんな努力を、されてきたんですね」「合格っ!」


 

 走れや走れ、まるで昭和という時代のダイジェストの中を駆け抜けるように蒼い車は走ってゆきます。


「・・・やっぱり、人気者なんですね」「仲が良いだけだよ、気のいいやつばっかだからなぁ~」


 大通りを横へ、商店街の中を徐行で進む車には視線が集います。親しそうに手を振る子供、サイドウインドウを軽く叩いて茶化す中年男性グループ、お野菜を分けて下さるおばさんもいらっしゃいました。ほら、重くてもしっかり支えてください。立派なゴボウが折れてしまいますよ?


「ここも中々雰囲気が出てますね」「あ、ここか?この商店街は元々こんな感じだったんだよ。ていうかここが始まりなんだ。」


ということは、ここが先日のテレビの特集で取り上げられていた場所ですか。どこかありがちな話だったので、アナタは途中で飽きてチャンネルを替えてしまいましたよね。あらすじ程度は覚えているでしょうし、会話を繋いではいかがでしょうか?


「確か、大型スーパーがここの近くに建設予定で、この商店街がピンチだったのをレイラさんが助けたんでしたっけ?」


「助けたわけじゃないさ。さっきも言ったが、私はここの奴らと飲んでる時に冗談めかして提案しただけなんだよ。田舎めいた懐かしさは大事にされるのに、古びた縦文字の看板とか、頭上を覆う邪魔くさい電線とか、『古い都市』って感じの懐かしさはすぐに消えちまうから。いっそこれを街の良さにしちまうのも良いんじゃないかって。それがその席で盛り上がってさ、子供が秘密基地の設計図を作るみたいに居酒屋にいた奴みんなで朝まで話し合って『懐古特区』は始まったんだ。年代ごとの区設定とか、ほら、今通ったスバル360のレプリカの観光用レンタカー、あれもそん時に出た案だ。いやぁ、まさかこうなるとはな~、そういえばあの日は、私が相談してたはずなんだけどな・・・」


話を振っておきながら、メインの話よりその相談というものが気になるアナタはどうなんでしょうか。


「ところで親次郎くん、」「・・・はい」


やはり返事までに若干のラグがありますね、これだから人と話すことに慣れていないぼっちは・・・。


「アイちゃんさ、胸デカくね?」・・・はい?「・・・はい?」今のラグはノーカンで行きましょうか。


「ていうかデカいよな!」「・・・はぁ」


何と言いますか、ムッツリでないだけアナタよりマシ・・・なんでしょうか。その潔さに、今までのシリアスが月まで吹っ飛んだようです。それにしても、本当にこの方中学生っぽいですね。ちなみに女子の部分は省かせていただきました。


「いやぁ、アイちゃん会ったときスーツ着てたんだけど、それでも私の目はごまかせないね。あれは少なくともFはあった・・・親次郎くんは、そういう話興味ないのけ?・・・ていうかいっつもあんな綺麗なママと暮らしてたら、逆に興味も出ないもんなのかねぇ?」「・・・考えたこともないです」


の割に、洗濯物を干すたびに母君の下着を触るのを恥ずかしがってらっしゃいますよね。それに母君の部屋着は少々変わっていますから、少年じみた感性のミセスレイラには刺激が強いのでは・・・あ、今母君の姿を妄想されましたよね「・・・うっさい」


というかこの方、確か男性に惚れて子供までお作りになったのに、今は女性に熱を出してらっしゃるとは・・・どっちもイケるタチなんでしょうか。


――――――あら、そういえば。


「自分からも、一つ質問いいですか?」「ん?」


子を持つ人は子供と話すとき、自分の子の話題を持ち出すのが常でございます。それを出さないということは、それなりの理由があるということでしょう。それをわざわざ話題に出すのですから、分かっていますよね?・・・そうですか、やはり気になりますか。何しろ、アナタと似た境遇の方ですからねぇ。


「お子さん、いらっしゃるんですよね?」「あぁ、」


「――――――――親次郎君と同い年の、女の子だ」


・・・おや、ラブコメの気配が。


























補足


・懐古特区・・・最近話題の観光スポット。数年前までは寂れた街だったが、株式会社InDiGoo社長レイラ・トンプソンのリードにより『懐かしさ』をテーマにした観光地へと変貌。テレビでは住民一丸となった街づくりや社長の武勇伝、街で行われる唐突なイベント(竹の子族再来、クラッシックカー展示会などが主人公が見たテレビでは取り上げられていた。)が取り上げられた。


・株式会社InDiGoo・・・言わずと知れた大企業。創業者はレイラ・トンプソン、主に工業製品を扱う会社だが、中小企業とのフェアな提携、積極的なCMによる売込みが有名。最近既存の車をハイブリッドカーに改造する技術や、そのために開発された小型ハイパワーなモーターが話題を呼んだ。


・どこかで見たスポーツカー・・・マツダ コスモスポーツ。1967年 - 1972年生産。世界初の実用的なロータリーエンジンを積んだスポーツカーとして知られる。作中に登場するのは後期型のL10B型エンジン搭載で約130仏馬力、InDiGooのトレードマークである鮮やかな藍色にホワイトラインが引かれ、またリアウイングが装着されている。


地球防衛軍・・・『帰ってきたウルトラマン』に登場する防衛チーム、MATのこと。前述のマツダ・コスモスポーツがほぼそのままの形で『マットビハイクル』という名称で登場する。


ロリコン・・・これを自称する限り、アナタは誰よりも紳士でなければならない。


スバル360・・・てんとう虫の愛称で知られるスバルの大衆車。1958年―1970年生産。劇中に登場するのはハイブリッド仕様のレプリカで、InDiGooが懐古特区内での観光用レンタカーとして開発した。

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