第1部 最初の抹消 第1章:情報の膿
本小説は生成AIを活用して作成しています。
※主な用途:アイデアの裏付け用情報収集、体裁や構成整え など
また、生成AIなどをもちいて史実を参考にまとめておりますが科学的に根拠はなく、あくまでSF作品となります。
約5.5億年前。エディアカラの静かな海の底で、左右対称動物の共通祖先であるイカリアから始まった進化の連鎖は、一つの特異な袋小路へと辿り着いた。
体長わずか2〜3センチメートル。1つの口に2つの肛門。柔らかな体躯に、長い腸と酸を分泌する胃、そして原始的な歯。彼らは原始的でそして「純粋」であった
彼らの生存戦略は、効率的である以上に、生命としての誠実さに満ちていた。しかしその誠実さこそが、惑星の調和を揺るがす致命的な「バグ」を内包していたのである。
この生物は分裂によって増殖するが、その瞬間に課される運命は残酷なまでに分かたれる。
2つある肛門のうち、一つを切り離すのだ。
一方は、口と肛門を持ち、海に漂う微細な有機物を食して穏やかに余生を過ごす摂食個体。そしてもう一方は、口を持たず、ただ「肛門だけ」を持って生まれてくる攻撃的な寄生個体である。
オスにとって、この世に生を受けた瞬間は、死へのカウントダウンの始まりに過ぎない。
自ら栄養を摂取する術を持たない彼らに残された道は、ただ一つ。その身に備わった露出した胃を使い、他の生命に取り付き、その肉を溶かして奪い取ること。
そこに悪意はない。飢えという原始的な衝動に突き動かされ、明日を繋ぐために他者を求めるその姿は、痛々しいほどに無邪気な「生の祈り」ですらあった。
そして、彼らにとっての生殖とは、欠落した自らを埋めるための「補完」であった。
メスがオスを自らの体内に受け入れ、その肉を飲み干すことで、元の完全体へと戻る手段を得る。再び、オスの持ち帰った遺伝子を掛け合わせ、次なる命を海へと放つ準備を始める。
この、至極真っ当で、あまりにも純粋な生のリレーは、海を覆い尽くすほどの爆発的な繁栄をもたらした。
しかし、その過剰なまでの「生の連鎖」が、皮肉にもシステムに歪みを生じさせる。
オスたちが、生き延びるために貪り食った多種多様な生物たちの情報は消化され、彼らの細胞内に無秩序な「記憶」を遺伝子として蓄積され続けていった。
それは、生命が数億年をかけて紐解くべき進化の記録を、無理やり一冊の本に詰め込むような暴挙であった。
やがて、その時代には存在し得ないはずの「高度な視覚」の欠片を持つものや、場違いに硬質化した外殻の情報を宿したものなど、既存の生態系の容量を遥かに超えた情報過多なオスが出現し始める。
彼らはただ、生きたかっただけなのだ。
だが、その膨れ上がった情報は、器である肉体の限界を容易に突破した。
そんな膨れ上がった情報は無邪気な毒となって海流に乗り、彼らを捕食するものすべての設計図を無差別に汚染していく。
あるものは肉体を無意味に肥大化させ、あるものは意図せぬ四肢を生やし、知性なきままにただ食らい合うだけの肉の塊へと変貌を遂げる。
海という静謐なスープが、制御不能な「過剰な生」という「膿」によって濁り、腐敗していく。
そして、この生命の設計図が瓦解し、美しい秩序が泥に塗れていく様を、ただ独り哀しみを持って見つめる瞳があった。




