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美人すぎる国会議員と行く異世界旅  作者: Y.イヨネスコ
第二章 湿布怒濤篇

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物部


 ここで俺のご先祖様とされる物部氏について軽く説明しておこう。

 飛鳥時代まで権勢を誇った最強の豪族、それが物部氏だ。

 だけど歴史の授業で習ったかもしれないが587年の丁未(ていび)の乱で神道推しの物部守屋が仏教推しの蘇我馬子や聖徳太子に敗れ、一族は滅亡の憂き目にあってしまう。日本では珍しい宗教戦争だ。


 物部とは元々は役職名で主に武器の製造、管理を担当していた。ありゃ、今の俺とあまり変わらないな。

 要するに機織(はたお)りが服部さんになったみたいなもんかな。


 ともかく強大な戦力を背景にした軍であり警察であり、裁判やら刑罰、祭祀、呪術といった治安全般を担っていた。

 睨まれたらおしまい。想像しただけで恐ろしい連中だわ。

 最後は権力闘争に負けてしまい歴史の表舞台から去ってしまうわけだが、いまだに俺ん家のような支族や末裔は残っている。

 我が家は祖父の代で駆け落ち結婚したため貧乏暮らしだが親戚はかなりの資産家揃いだったりする。


 この物部氏を過去に遡るとニギハヤヒに行き着く。

 このニギハヤヒ、古事記や日本書紀にも登場する神様だ。つまり由緒正しい家系てわけ。

 ただ神話である上に記述内容に疑問も多くて謎の多い存在だ。


『天孫降臨』という言葉を聞いたことはあるかな?

 今の皇室の祖で天照大御神の孫であるニニギノミコトが地上を統治するために高天原(天上界)から九州の高千穂に降り立った。

 三種の神器を授かり、神々を従えて降臨したニニギノミコトは後の初代の神武天皇へと続くという物語だ。


 ところがニニギノミコトの前にニギハヤヒが『天孫降臨』していたと聞いたらどう思う?

『天孫降臨』は二回あったということになる。おかしいよね。でも本当なのだ。

 天磐船(あまのいわふね)に乗って大和の地に降臨したとされている。

 神器だってあるぞ。しかも十種!

 そのまま順当に考えれば早い者勝ちでニギハヤヒがヤマト朝廷を開くはずが、なぜかニニギノミコトに支配権が渡って日本の歴史は始まる。

 ね、謎でしょ。

 ちなみにヤマトという名称はニギハヤヒが名付けたことになっている。

 口伝というか、うちの祖父ちゃんによると親友の妹と駆け落ちしたという。自分と一緒にするなっての。これはもう捏造だろ。


 そんなわけでミズク様や川姫が重要視しているのはこのニギハヤヒという神様の血統なのだと思われる。

 しかし前述したように我が家は本家とは疎遠であり先祖伝来のお宝どころか家系図さえない有様だ。姓が物部だからと一目置かれても正直ピンと来ない。

 しょせんはおとぎ話と切って捨てることができれば簡単なのだけれど、威武岐や玉藻の前が実在する『ゲミニス』において神話は史実以上のリアリティが担保されている。


 シロミにとってアスラー様=アズマだったようにまさか俺、物部守はニギハヤヒが投影された存在として見えているのだろうか?

 だとしても「麒麟も老いては駑馬に劣る」という諺があるとおりいかに名馬でも歳が寄れば平凡な駄馬にさえ勝てないのだ。

 今の俺に何を期待されても困る。




 上下左右もわからない霧が晴れていく。

 晴れたはずなのになんというか真っ白な視界だ。

 いつの間にか川はなくなり足元に黄色い水溜りができていた。


「うへ、マジかよ」


 勘弁してくれ。

 ただの小便を漏らしたお爺さんじゃないか。

 さてどうしたものか。

「精神と時の部屋」みたいな果てしない雪景色よろしく白一色の景色を見渡す。

 領域外のヌシの権能では探知範囲は狭くて役に立たない。見通し距離のほうがはるかに広い。

 ぐるりと見渡せば黒い点があった。

 点は徐々に大きくなっているようだ。

 双眼鏡を取り出し確認してみると四脚の生き物だった。

 敵か味方か、じっと目を凝らしているとその正体がやがて判明した。


 ドン吉だった。


 生きとったんかい!


「お~いドン吉〜!」


 叫んでぶんぶんと手を振る。


「お~いクソジジイ、元気か〜!」


 ドン吉が返事をした。


 え?


 

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