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美人すぎる国会議員と行く異世界旅  作者: Y.イヨネスコ
第二章 湿布怒濤篇

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ノンノン・キタノール




 俺がプライバシーの侵害について考えているとリンリン団長から辺境伯に会うよう求められた。


「本来なら神馬様ともども招待すべきところなのだが肝心の神馬様がいないので訪問という形でお願いしたい」

「どうする?」

「午後の訓練のあとにお邪魔したらどうかしら」

「OK、断る理由もないしな」


 そして俺たちは今キタノール辺境伯城の賓客となっていた。

 馬車に迎えられ城門を通されるとすぐ汗と埃で薄汚れた迷彩服を脱がされた。沐浴したあと用意されたピカピカの派手な衣装に着替えさせられた。

 いちおう何種類か用意された中から選ばせてもらえたがどう組み合わせても良く言えばコンゴのサプール、悪く言えばチンドン屋だった。

 せめてお笑い芸人レベルまで持っていこうと明るい紫のスーツを選んだらあとは緑のシャツに金色のネクタイ、黒のチョッキに水色のストールが自動的についてきた。さらに宝飾ゴテゴテのステッキを持たされる。なんで?


 そして待つこと数十分、パリコレかミラノファッションショーもかくやというシルバーピンクのドレス姿でシロミが現れた。

 髪を結い上げられキラキラと揺れるかんざしのようなアクセサリーにデコルテも露わなツヤツヤ、フリフリ、フワフワ、ヒラヒラという語彙力を喪失してしまうようなドレスを纏っている。

 まさに美人すぎる国会議員だ。

 こちらもなぜか宝飾されたパラソルとバッグを持たされている。

 歩くたび大胆なスリットからのぞく真っ白な脚線美に目が吸い寄せられてしまう。


「下ばかり見るなー」


 嬉し恥ずかしといった面持ちのシロミ。

 俺と同じでこれでもマシな部類の選択だったのだろう。

 迎えるノンノン・キタノール辺境伯と娘のララお嬢様は逆にシックな色合いの黒と焦げ茶色をベースにした装いだった。

 リンリン団長はそれが正装なのか軍服姿がいかにも騎士という麗人ぶりだ。


 マナーもよく知らないままに食事に突入し、味もわからないまま終わった。異世界のご馳走なのにもったいないことをしたよ。

 そしてやっとのことでティータイムになるとドン吉の写真を見せる段取りとなった。

 あらかじめリンリン団長から言われていたのでプリントしたドン吉を渡すがどうやらスマホの液晶画面をご所望の様子だった。

 せっかくなので動画を見せることにした。


「なんと動いておる。しかも音まで聞こえる!」


 ノンノンさんが大きな目をさらに見開き顎が外れそうなほど驚いていた。

 ララお嬢様は「そうそう、このお馬さんだった。間違いないわ!」と大喜びだ。


「この魔工品を譲ってはもらえまいか」


 そう来ると思っていたよ。


「お譲りしたいのは山々なのですが明日の今ごろには動かなくなってしまいます」

「なぜですか?」


 充電切れをどう説明したものか。


「ごく弱い雷の力が尽きてしまうとお考えください」

「では雷の力を入れれば再び動くのか?」

「さようでございます」

「リンリン団長、ピカモンを呼べ」


 その名前の人は騎士団精鋭の一人でアグネスさんと同じ電撃使いだったはず。


 呼ばれてきたピカモンはその名の通りお坊さんのようなツルピカ禿げだ。


「これを調べてみよ」


 ノンノンさんにスマホを渡されたピカモンは目を閉じて両手に挟み込んだ。まるで合掌して瞑想している禅僧のようだ。


「かすかな力を感じます」

「力が尽きると止まってしまうらしいが補充はできそうか?」

「やってみましょう」


 おいおいバッテリーが爆発するぞ。危ないから止めないと。


「ちよっ……」

「できました」

「ええっ?」


 画面に表示されているスマホの充電が100%になっていた。

 恐るべし熟達したエクストラ能力者。

 これで断りきれなくなり写真をコピーしたスマホを渡した。

 もちろんカメラで記念撮影もしたよ。

 スマホを進呈したことでララお嬢様の誘拐事件を解決した(ドン吉が)謝礼と合わせてかなりの金品を賜ることになった。着用した衣装まで下賜されたがどこで着るんだよ。

 さらに、おまけに、余計なことに。


「あとその方が希望していたマッサージの用意もしてあるぞ」

「いえいえ遅くまでお邪魔するのも申し訳ありませんので」


 ありがた迷惑とはこのことだ。俺はマッチョマンに興味はないのだ。


「かまわん、今夜は泊まっていけ。連れの女性には美容、エステも用意しておるぞ。妾と共に受けてみないか」

「ウワァお願いします。マモさん、ぜひ泊まっていきましょう!」


 おのれシロミめ裏切ったなー!

 もはや断れるはずもなく着替えに戻るとガチムチのおじさんが腕組みして3人も待ち構えていた。

 地獄のマッサージタイムの始まりだった。


 俺は3人がかりで揉みくちゃにされながらエクストラを舐めちゃいかんと孤独な反省会をした。禍獣と違ってどんなエクストラ持ちがいるかわからないのだ。手の内を簡単に晒すのは考えものだった。

 ホムラのような冒険者にほいほい元世界の武器などを見せてアポーツされたり対策されてはこの先の活動に支障が出るおそれがあった。

 結局、一番怖いのは人間ということだ。


 シロミはノンノン辺境伯と施術を受けながら政治談義に花を咲かせたようだ。

 視聴者数もきっと凄かっただろう。こっちは特殊な層に受けていたかもしれん。

 ピカピカに磨かれて戻って来たシロミは参謀役としてスカウトされたと語った。

 受けられるわけもなく丁重に辞退申し上げ、お互い困ったときはいつでも相談に乗るということに落ち着いたようだ。



 ✳ ✳ ✳ ✳



 出発の朝、ネオ一行を初めて見てシロミがひっくり返りそうになっていた。

 ギルドでの乱闘騒ぎで鬼族にネズミ野郎と罵られていたので灰色の野ネズミ男を想像していた。予想は大外れで白いハツカネズミのような愛らしい獣人家族であった。


 だがその造形はシロミによると「とことんハツ太郎」の登場キャラのように可愛く、部下のウサギ獣人もこれまた「ちびかわ」のキャラ並みの愛らしさだという。

 というわけでリンリン団長も一緒になって写真を撮っている。


 おいおい、そんなんでいいのか?

 外交官特権剥奪の上、国外退去なんだから護衛といいつつ実情は護送なんだろ。

 なんとも和気あいあいとした出発になった。

 まずは川に沿って進む。

 先頭はホムラパーティー、馬車の御者と直衛が騎士団でいつものごとく殿は俺たちだ。

 するとすぐに川面から剣呑な気配が漂ってきた。






 

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