表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美人すぎる国会議員と行く異世界旅  作者: Y.イヨネスコ
第二章 湿布怒濤篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/64

特訓


 弓を引き絞り矢を放つ。

 アスポートで射られたばかりの矢を取り込む。

 朝も早くから郊外で俺たちは運動量保存則を利用した攻撃の仕込みをしていた。


「いててて」


 慣れない行射に指が悲鳴を上げる。革手袋をしていても水ぶくれができ、それが破れても射つづけたので血だらけだ。

 それはシロミも同様だった。彼女が泣き言を言わない以上へこたれては男子の沽券にかかわる。

 自分の矢だけでは一方向になってしまうのでシロミは左右から俺の倍もの数をこなしていた。威武岐の助けがあるとはいえすでに血豆は破れていた。

 ホスト・センサーで連携していてさえ俺のアスポートは空振りして何度も無駄射ちさせていた。これも負担を大きくした原因だ。

 なお銃弾にいたっては収穫なし。フルバーストにも関わらず一発も捉えられていない。

 逆にシロミ✕威武岐コンビの石礫(いしつぶて)はかなりの数を貯えてある。

 それもかなりの破壊力だ。

 手加減の必要性も考慮して俺のヘロヘロ投石もキープしておいた。


 鬼コーチの特訓はまだ終わらない。

 ここからが本番とばかりに連続アスポートに挑戦だ。

 せっかく取り込んだ矢とか使うのはもったいないのでそこら辺に落ちている石ころで代用だ。

 できるだけ遠い空間で素早く出現させる。

 半径約5mで10個取り出すのに10秒かかった。

 シロミに射程ぎりぎりの5mの位置に立ってもらいその周囲にばら撒くようにして取り出す練習もする。四方八方からの攻撃をイメージしているがシロミはすべてキャッチしてみせた。


「1秒に一つだと避けられちゃうかもね」


 せめて1秒間に10発叩き込むぐらいでないと実戦では役に立たないかもしれなかった。

 言うは(やす)く行うは(かた)し。昔の人はいい事言うよ。

 アスポートにエネルギー切れはないが俺の集中力が保たなかった。脳神経が焼き切れそうになりながら取り出すペースを上げていく。


「次は精密攻撃。針の穴を通すようなコントロールを見せてね」


 動き回るシロミの掌に石を置いたり当てたりしていく。ボクシングのミット打ちみたいだ。

 眼球の奥が火を吹きそうに熱くなってきた。


「そろそろ街に戻りましょうか。ギルドで打ち合わせしないと」


 シロミがやっと解放してくれた。

 頭蓋骨が心臓みたいに脈動している錯覚に陥る。このまま脳卒中で逝ってしまいそう。


「その後食事して再開しましょ。それに銃弾も一発ぐらい切り札として持っておきたいしね」


 少しは老人をいたわれよ。

 しかし生き生きとしているね。なんというか体育会系のノリだ。

 ああ、脳をマッサージする方法はないもんかね。頭の芯が凝っている感覚だよ。

 そうだ! 賢い俺は閃いた。マッサージの仕事もしていたじゃないか。

 シロミにマッサージのやり方を教えるという名目で、ぐへへへ……。なんだか元気が出てきたぞ。

 やべ、目が合った。ホスト・センサーを忘れてた。


「どうしたのさっきまで死んでいた目が輝いているわよ」

「いやあリンリン団長に会えるかと思ったら嬉しくて」

「私もあの人好きよ。楽しみね」


 よかった誤魔化せた。

 夜まで我慢だ。落ち着け本能、抑えろ衝動、明鏡止水の境地に至るのだ。


 ギルドに入ると昨夜の襲撃事件は冒険者たちに知れ渡っていたようで囲まれた。


「マモルにシロミ、昨日は災難だったらしいな」

「災難は襲ってきた連中さ。例の爆発する魔工品で目を回したところをボコボコにしてやったよ」

「ガハハ、あれを食らったらひとたまりもないないだろうさ」

「冒険者の猛者でもひっくり返る代物だ。しかも相手はダンジョン踏破者ときた。貧弱な物盗り風情じゃかなうはずないぜ」


 大男ツッチーと虎男テツが愉快そうに肩を組んでいる。


「それなんだが単純な物盗りじゃなく俺たちを狙って殺しにきた気がする」


 ゲラゲラ笑っていた冒険者たちが真顔になった。


「金品狙いじゃないとすると怨恨か?」

「昨日『オヅヌ』に来たばかりで恨みを買ってるとしたらお前らだけだ」


 どっと笑いが沸く。


「あとは痴情のもつれか」


 ツッチーがシロミを一瞥した。


「まるで心当たりがないわね」

「それだけはない。二次元しか興味ないからな」

「二次元?」

「要するに男には興味ないってことだ」


 俺の雑な説明にざわつく。


「シロミお姉様……」


 変な誤解をしたネコ耳少女がつぶやくが聞こえなかった事にしよう。


「あとは口封じとか邪魔者を消す的な……」

「あら人気者ね」


 そこへリンリン団長が団員を伴ってやって来た。さらに続けてホムラのパーティーも現れお開きとなった。


 リンリン団長がシロミにこっそり耳打ちし、お肌の触れ合いで俺に伝えてくれる。


(打ち合わせのあと話があるって)

(飯を食いながらでもいいかな)


 おそらく襲撃者についてだろう。

 護衛依頼と無関係ではないはずだ。

何やら陰謀とか国際問題に巻き込まれた予感がする。


それにしてもシロミとリンリン団長が並んで立っていると見栄えがいい。

いずれアヤメかカキツバタといった風情で甲乙つけがたいね。

こんな美女二人にジジイが挟まれている光景、元の世界ではどう映っているのだろうか。







 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ