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美人すぎる国会議員と行く異世界旅  作者: Y.イヨネスコ
第二章 湿布怒濤篇

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 俺たちが水道橋のアーチにさしかかったところで前方を塞がれた。後方からも退路を断つ追跡者たち。それぞれ三人ずつがいっせいに剣を抜いた。

 俺はシロミの手の甲を軽くタップした。これだけで作戦が伝えられる。接触テレパス様々だ。

 シロミが猪突アーマーを装着した。

 俺もビキニアーマーを装着する。膨らんだ胸元にシロミが眉をひそめるが背に腹は代えられない。現時点でこれを越える防具はないんだからしょうがない。エピック級のレガリアを複製できるだけでも褒めてもらいたいもんだ。


 立ち止まり間合いが詰まったところでシロミは後方の敵と対峙する。

 いでよスタングレネード。

 ホムラが投げ返した点火済みのスタングレネードを正面の奴らにアスポートし、俺は目と耳を塞いでしゃがみ込む。


 コットーン。


 何かが俺の鉄帽の上に落ちた。


 あれれ? まさか?


 爆発。

 衝撃。

 俺は石畳に叩きつけられた。


「※※※※※※※※バカ!」


 シロミが何か悪態をついたようだが最後のバカしか聞き取れなかった。

 立て、立つんだジョ◯!!

 眼帯のおじさんのように自分を鼓舞し、よろめきながらもファイティングポーズをとる。

 明日はどっちだ。頭がクラクラするぞ。

 閃光の効果は夜だけに絶大だったようで襲撃者たちは一時的に視力を失っていた。

 フレイルで逃げられない程度にこらしめてやる。シロミも得物を奪って叩き伏せていた。

 そこへ『オヅヌ』の警備隊と騎士団が駆けつけてきた。

 俺たちが状況を説明していると騎士団からグレース・ケリ◯のような気品溢れる美女が一人歩み出てきた。


「わたしはリンリン・リンリ。第一騎士団の団長だ。お前たちが噂の異国から来たダンジョン踏破者か」

「噂になってますか?」

「たった二人でダンジョンボスを倒した武勇伝など聞いたことがないぞ。ネオの護衛でご一緒できるとは心強い」

「正確には二人と一頭ですが、だよな」

「ええ、ドン吉もボス部屋で一匹狩ってますからね。私たちもリンリン騎士団の活躍はかねがねうかがっていますよ。ご一緒する騎士団の精鋭があなたたちなら安心です」

「そうそう若様を誘拐犯から無事奪い返したお手柄とか」

「ああ、あれか……」


 リンリン団長は苦い表情をした。


「あれはわれら騎士団だけではなく神馬様のご加護あってのことだ」

「その件なんですが」


 俺はスマホでドン吉を見せた。


「神馬ってこいつじゃないですか?」

「おお、何だこれは異国の写真なのか? ええと、まさしくこのように何やら全身に御神器をまとった御姿であったぞ」

「やっぱりドン吉だ」


 俺とシロミは顔を見合わせ頷きあった。


「神馬様はドン吉というのか」

「神馬様だなんて、そんな大層なもんじゃありません。ただのロマーですよ」

「そのドン吉様に会わせてくれ。礼が言いたい」

「それがはぐれてしまって、私たちも捜しているのよ」

「なんと、無礼を働いた詫びもしたかったのだが……」


 聞けばリンリン団長の愛馬に迫って足蹴にされたようだ。

 何やってんのドン吉。


 襲撃者については責任をもって取り調べをして出発までには俺たちに教えてくれることになった。


「ではマモル殿、シロミ殿、また明日」

「はいリンリン団長も明日はよろしくお願いします」


 俺たちはリンリン団長らに投宿先まで送ってもらっていた。


「リンリン団長は信用できそうね」

「わかるのか?」

「もちろん。ホスト・センサーが好意や尊敬の念を受け取ったわ。私に対してだけど」

「俺には?」

「胸の膨らみを気持ち悪がってたわ」

「あ……」


 しまった脱ぐのを忘れてた。あーあ、やっちまったよ。今度からビキニアーマーを着るときは防弾ベスト必須にしよう。

 おっとそんなことはどうでもいい。

 部屋に入るなり俺はシロミに検証の協力を頼んだ。


「運動量の保存?」

「そうなんだ。ホムラが投げたグレネードの勢いが残っていた気がする。賊の目の前に出したはずなのに俺の頭に落ちてきたんだ」

「やってみましょう」


 シロミはポーチからスタングレネードを取り出した。


「いやいや最初はもっと柔らかくて安全な物にしてくれ」

「あっそれもそうか」


 このあたりシロミの長所でもあり短所でもある。

 枕で試したところ間違いなく運動量は保存されていた。俺に投げつけられた枕をアスポートでまず消す。次に取り出すと出現箇所から俺に向かって飛んできてポフンと顔に当たった。

 ちなみに護衛の都合でベッドはツインでシロミとは同室だ。どうだ羨ましいか。

 着替えや身体を拭くときは部屋から追い出されるんだぞ。絶対に見ないと神様に誓ってもダメでした。さすがはホスト・センサーだぜ。


「これってもしかしてかなり使える応用じゃないか?」

「怪我の功名とはいえよく気がついたわねマモさん。エロボケ助兵衛じじいのバカとか言ってごめんなさいね」


 そんなこと言ってたのか。ひでーな、本当のことだけど。


「たとえ銃弾は無理でも弓矢とか投げナイフ、石ころでもいい。それらをいろんな角度でアスポートしておいたら敵を四方八方から攻撃できるはずだ」


 今まではアスポートのごく狭い範囲内でしか攻撃できなかったがこれなら範囲外の標的でも武器を見せずに奇襲攻撃ができてしまう。


「これならホムラのインバリアブルフィールドに対抗できるわね」

「うん、これはでかい収穫だ。さっそく明日から手品の種をたくさん仕込もう」

「うん、命中率の検証も必要だしね」


 とてもいい笑顔だ。

 まさかこの鬼コーチによる地獄の千本ノックが待っていようとはこの時の俺は知る由もなかった。



 

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