鼻血ブー
吹っ飛ばされた俺をシロミの豊かな胸が受け止める。
両耳を温かい双丘に挟まれ血圧が急上昇した。ドアにぶつかった衝撃も合わさってクラクラするぞ。
興奮しすぎて鼻からドバドバと血が噴出する。鼻血ブーとか漫画みたいだ。
「マモさんしっかり! お前たちよくも!」
鉄棒とスレッジハンマーをぶつけ合う獣人と鬼人の荒くれ者二人を長い脚で蹴り飛ばす。
さらにシロミはスタングレネードを取り出すとポイポイとギルド内に投げ込んだ。いやはや容赦ないね。
爆音と閃光がロビーを制圧した。
乱闘騒ぎは強制終了だ。
でも、あれ? 2個投げたはずなのに爆発は一つだけだったような。
鼻にティッシュを詰め込んで煙る室内に入ると5人ほどが転がり、また5人ほどがふらついていた。残りは俺たちに身構えている。
奥行きがあるため威力が足りなかったようだ。
「これは君たちの?」
ニヤニヤ笑いを顔に貼りつけた優男が不発のスタングレネードを手にしていた。
「傷つけることなく敵を無力化するなんて面白い武器だね」
初めて見るタイプの力場が手から発生していた。これが爆発を阻害しているのか。
「返すよ」
ちっ、投げ寄こすと同時にヒューズが再点火した。俺は即座にアスポートで消し去る。
「あらら、どうやったの?」
距離があるためアスポートとは思わなかったようだ。日夜シロミ相手にこっそり特訓した成果だ。シロミの下着に比べれはどうということはない。
「いったい何の騒ぎだ」
ドスドスとビア樽のような男が階段をおりてきた。ドワーフだ。
「獣人の連中がいきなり暴れ始めて」
「てめーら鬼族が喧嘩をふっかけてきたんだろうが!」
「おうそうだそうだ! 誘拐騒ぎを俺たちのせいにしやがって」
「はん、裏で駐在武官のネズミ野郎が動いていたに決まっている!」
「だからその証拠を出せって」
「もういいわかった!」
ドワーフは一喝して俺たちに向き直った。
「で、お前さんたちは?」
「そういうあなたは?」
「わしはここのギルドマスターを任されているガロンだ」
「俺は物部守、乱闘に巻き込まれた訪問者です」
「嘘つけ、この惨状を引き起こした張本人じゃねーか!」
「巻き込まれたのは事実でしょ。彼のひどい出血を見て!」
シロミさんのおっぱいミサイルにやられました。
「冒険者の登録に来たのか」
「ああ、それと禍獣やダンジョンモンスターのレリックを売りに来た」
「どこのダンジョンだ」
俺はアニルさんの地図を出して隧道のあったあたりを示した。
「そういえば近ごろ冒険者パーティーがよく行方不明になっているのはこの方面じゃなかったか?」
「なんですってギルマス? 耳がキーンて鳴っててよく聞こえない」
可愛い受付嬢も巻き添えを食らったようだ。
「遺跡へ向かう街道なので間違いありません」
別の受付のお姉さんが出てきて肯定する。
「一度踏み込むとダンジョンボスを倒すまで出られないようになっていた」
「ではお前たちはダンジョンボスを倒したということか?」
「もちろんだとも」
シロミが凶悪な胸を張り大剣の柄に手を添えた。
ギャラリーから感嘆の声が上がる。
「モンスターの種類やダンジョンの特徴などあとで詳しく教えてくれ。おい冒険者登録をしてやれ。あと買い取り査定もな」
「はい」
受付嬢に指示を出し次は優男の前に立つギルマスのガロン。
「ホムラ、お前がいながらなんて有様だ」
「ガス抜きのつもりが想定をはるかに越えたお客様がいらっしゃったのでね」
ホムラと呼ばれた男がシュラッグする。優男がやると肩をすぼめる動作もいかすね。俺はいけ好かないが。
「わしの執務室に来い。お説教だ」
「はいはい、またねべっぴんさん」
シロミにウインクを飛ばすがシカトされていた。ざまー見ろ。
うちのシロミは二次元推しなんだよ。




