ダンジョンクリア
レリックがいくつもドロップされたがすべて鎌だった。ニューオオガ村への手土産にしよう。
一つだけ死神が抱えているような巨大な鎌があった。ボスのレリックだと思うがギガースの大剣といいもう少し腰に優しい物にして欲しい。
俺たちが入ってきたのとは反対側に穴がぽっかり開いた。出口であってくれよ。
外側の気配を探っているとドン吉が一目散に駆け出した。
そうとう怖かったのだろう全力ダッシュだった。
「シロミ!」
「威武岐が限界」
折り悪く猪突アーマーが解けるところだった。
「ドン吉ー!」
追いかけて名前を呼ぶが止まるはずもない。積載してある荷物だけでもアスポートで回収したいがシロミのときと同様に無理だった。
ドン吉はさらにスピードを上げて部屋の外に飛び出し見えなくなった。
俺たちも続いて外に出るとそこはもうダンジョンではなく外界だった。
振り返るとそこには普通の隧道があり、俺たちが入ってきたであろう向こう側の光が小さく見えていた。
ダンジョンクリアということか。
このダンジョンはこのまま消滅するのかそれとも復活するのだろうか。
特にゲームのようにレベルアップするでもないし骨折り損のくたびれ儲けだ。
ん、待てよ。
「シロミ見てくれ」
俺はぼろ切れと化した服を脱いだ。
ビキニアーマーが丸出しとなる。
「おえりゃーせんわ!」
シロミは顔をそむけた。
「そうじゃなくて背中を確認してくれ」
俺はお世話になったビキニアーマーをアスポートで脱いだ。なんか胸がスースーする。
「増えてます」
「やった! どこが増えた?」
「これはどこだろ」
パシャッとシャッター音がした。
スマホの画面にはどこかの半島があった。
「カリフォルニア?」
「カリフォルニアからメキシコあたりだね」
1億人ゲットだぜ。虚無の歩哨では増えなかったがダンジョンを攻略すると増えるようだ。
これは有益な情報だった。
その後ドン吉を失った俺はヨタヨタになりながら廃墟になった宿場町を通過中にロースケルトンに襲われた。
シロミのヒャッハーな活躍で切り抜け今は丘陵地で一休みだ。
ずいぶん長い回想だったなー。
第一章終了てところだ。
ペットボトルのお茶をグビリとあおる。
「ゲホゲホげぼーっ! ゲフンゲフン!」
「ちょっと大丈夫ぅ?」
「水が気管支に入った。ゲホッ」
「誤嚥性肺炎になるから気をつけてよ」
「まいったな」
寄る年波には勝てない。近ごろとみに気管支に誤嚥することが増えた。
こんな医療も未発達な異世界で病気にはなりたくないが高齢者のお仲間入りしたからには覚悟しておかないと。
ここまでの旅路で左の膝に違和感が生じていた。
なんだかんだで身体に負担をかけたからなー。
ドン吉がいた時は気にならなかったが軟骨がすり減っているのか水が溜まっているのか、これ以上の悪化は旅に支障が出てしまう。
しかもM2の三脚架に蹴躓いて膝も打ったし。ビキニアーマー着用でもノーダメージとはいかなかった。
そういやM2重機関銃は何kgあるんだ。バイクやスクーターは無理でもマウンテンバイクくらいならアポーツできるぞ。
「よし決めた」
俺はマウンテンバイクをお取り寄せした。
自転車に乗るのは何十年ぶりだろう。
自動車の免許を取得してからほぼ乗ってないはずなので50年近くご無沙汰のはずだ。
しかもシティサイクルしか乗ったことがないのでかなり不安だ。
案の定フラフラと頼りない走りになった。
シロミがケラケラと笑う。
乗り方は身体がなんとか覚えているのだが脚力がまるで足りていない。未舗装ともなればなおさらだ。
「シロミ、乗ってみて」
「えぇー、乗れるかなー」
とか言いながらスイスイと乗りこなしてしまう。なんならジャンプまで披露した。
膝には優しいから足腰の鍛錬と自分に言い聞かせて乗ることにする。
その夜は太腿が攣り、翌日はひどい筋肉痛になっていた。湿布薬をアポーツするはめになった。
ドン吉カムバーック!




