女子会
※第三者視点
「ああシロミちゃん」
「いじらしいです〜、はい〜」
「何やってんの、恥ずかしいわ!」
アズマを尾行するシロミのけなげな姿に吉田さゆり、タカコ、イモトアキ子の三人娘は悶絶する。
シロミが異世界に転移してからもそれぞれ自主トレは続けていて時間があれば自衛隊の駐屯地で訓練も受けていた。
さらに定期的に集まってはシロミや物部守たち異世界の情報交換もしている。
というのも物部守のアポーツが徐々にレベルアップしていることからいつか生物も引き寄せられる可能性があったからだ。
さらに陰陽師の協力を得て空ろ舟の研究が進められていた。
『シュレーディンガーの猫』の箱のようにマクロ的存在を未確定の量子力学的存在にしてはどうか、弱観測系からの量子テレポートはどうか、いやいやトンネル効果の応用だなどと百家争鳴となっている。
『ゲミニス渡航計画』まだ端緒についたばかりで形にもなっていないが玉藻の前や小田野銀鏡の例があるため絵空事とはいえなかった。
カフェの個室で三人は女子会で盛り上がっていた。ここも例に漏れずディスプレイが設置してありシロミたちの『ゲミニス』での様子を観測できるようになっていた。
画面ではシロミがアズマに体当たりをしていた。
『ふんが!』
結末がわかっているのでこの場面は爆笑ポイントだった。
「がははは、グッドタイミング!」
「はい〜、怪我がなくてよかったです〜」
「あはは、なんで猪突アーマーなの!」
そこからの爆破攻撃に拍手しギガース登場シーンにのけぞる。
隣の画面ではマモルが溺死しかけていた。
「それにしてもこのおじいちゃんヤバすぎるでしょ」
「すぐ死にかけます、はい〜」
「ハミコ様早く、早く、早く」
そしてギガースへのショルダーアタックが始まった。
「勢いはいいんだけど踵から攻めなきゃ」
「足払いです〜」
「あっそうか正面から突っ込んじゃダメなんだ。わたしも前から行きそう」
「あくまでも倒すのが目的だからね」
「伝承では倒れたら起きられなくてボコられるとハミコ様は言ってました、はい〜」
「どんな芸風なんだか」
「こっちはこっちで落としたピストル拾ってもらってるし」
「アズマさんイケメンです〜」
「こっちの世界に来たら大スターでガッポガッポ儲かるよ」
「ほら蹴飛ばされた」
「水に落ちてよかったです〜」
「おじいちゃんもこのあと一緒に落ちるとかお約束マモルくんだよ」
「がはは、うまいこと言う」
「はい〜」
「で、何でシロミちゃんの手を握ったの」
「それで会話できるみたいだよ」
「接触テレパスです、はい〜」
「そうなんだ、スケベ爺かと思った」
「スケベ爺は合ってる」
「これでパンツァーファウスト3を呼んだと考えられるです〜」
「パンツ履き捨てる?」
ドッカンと受けて酸欠になるほど笑い転げる。
そろそろアルコールがいい感じで回ってきたようだ。
シロミの恋が破れたところでは三人抱き合って号泣した。
「うえーん、シロミちゃんかわいそう」
「悲しいです〜」
「身長か、身長で負けたのか!」
『楽しい失恋旅行に出かけよう』
パカン!
「「「イェーイ!」」」
三日後マモルがシロミにぶん殴られハイタッチで喜ぶ。
リアルタイムのライブ中継は二人と一頭がポコポコ歩いているのどかなシーンだ。
マモルが手を伸ばしシロミが嫌そうにつまむ。
シロミの顔がこわばり立ち止まった。二人の手は離れた。
シロミは立ち尽くしていた。
やがてトボトボと歩きはじめたシロミにいつもの快活さはなかった。
辛そうにギュッと肩の89式5.56mm小銃を握りしめている。
三人は何が起きたのかわからず混乱していたがやがて正解らしき結論に行き着いた。
「物部守さんがもうダメだという時はシロミちゃんがとどめを刺させということね」
「そうすれば小田野銀鏡さんの背中に日本が移ります〜」
「かっこいいじゃねぇか、爺さんのくせに!」
女子会は二人のために乾杯して終わった。




