旅立ち
生成AIで地理関係を作ってみました
日本政府および人類存続評議会(CHP)から転移者保護の要請があった。
俺がアニルさんからコイビト山周辺の地図を手に入れたのがおそらく事の発端だろう。
獣人の国に赴きホークという飛行能力者と合流し、共に捕らえられている転移者を救出してもらいたいとあった。
俺たちの心づもりでは迷宮に逃げ込んだヨシュアさんのいるドワーフの国にアズマやアニルさんたちの案内で向かうはずだったのだ。
東と西、まったく真逆の方向だった。
どうやら不死身のヨシュアさんの心配はいらないようだ。
「外圧に押し切られたようね」
「生き残りがさらに減って20人か」
「このペースだと1年もたずに全滅する可能性が高いわ」
「そうとも知らずに危険な冒険者稼業をしているガキがいると」
「元の世界との連絡手段を持っているのは私たちだけだものしょうがないわ。生きるのに必死なのよ」
「アニルさんの地図によると古い街道を東に向かうと廃墟になった宿場町があるそうだ。オロカモンの都が滅びると寂れてしまい打ち捨てられたとか」
「さらに進んで南下すれば鬼族の都、北上すれば獣人の国ね」
「問題は俺たちの足か」
「主にマモさんの足腰ね」
「シロミよりは毎日歩いていたぞ」
「若さが違うわよ、若さが」
接触テレパスで以心伝心したあの日から俺たちは互いに遠慮がなくなっていた。
「ダメ元でアニルさんにウマシカを融通してもらえないか頼んでみよう」
「あとは食料。アポーツはできるだけ武器弾薬などの補充に使いたいからね」
「とはいえこの村もそれほど蓄えがあるわけじゃない。自分たちで狩ったり採ったりしないとな」
「3日でどうかしら」
「そうだな、それだけあればヌシの権能で獲物や山菜などは簡単に見つけられるから」
「へえレベルアップしたじゃない」
「こう見えて成長期なんだよ」
「アポーツできる量数も増えたもんね」
とにかくまともな街道や人里までが遠かった。
鬼族のペースで3日の行程らしいので俺の足なら最低でも5日はみないといけない。およそ100kmぐらいか。トリスネクやダイさんたちと遭遇した所からオロカモン遺跡までの道程と同じぐらいだ。あれはきつかった。
1日20km以上で歩数にすると毎日2万歩以上歩くことになる。
今回はアスポートで手ぶら状態なのが救いだ。
それから3日間俺たちは精力的に食料をかき集めた。アスポートすると劣化や腐敗の心配ないのが心強かった。
肉、魚、山菜、果実を新鮮なまま保存できるのだ。もちろん肉類など熟成したほうがアミノ酸が増え肉質も柔らかくなって美味しいし、果実にしたって完熟まで時間の必要なものもある。魚だって釣ってすぐのプリプリもいいが緩んでイノシン酸が増えた食味も捨てがたい。
頃合いを見計らってアスポートしていくが容量(?)の上限が見えなかった。
アニルさんの隊商も同じ日にニューオオガ村を離れるのだが、共に村を守った連帯感から3日目の夜は盛大な送別会となった。
アズマにはヨシュアさんへの手紙を預けた。なんとか迷宮内まで届くといいのだが。
アズマからはヴォイド教に関わる情報を提供してもらった。厄介な連中がいたもんだ。
『虚無の歩哨』については自然現象というのがアズマの見解だ。
ただダンジョンや転移者がまったくの無関係とも思えないそうだ。世界が異物を排除するシステムとしたら俺たちに居場所はないことになる。発生のメカニズムとか解明できんもんかな。
アニルさんからは荷駄にしていた小型の駄獣を融通してもらった。ロマーというロバだかラマだかポニーだかわからん種類だ。
名前はドン吉という。
「やる気のない顔がマモさんに似てない?」
「あはは、そっくりー」
シロミとアグネスさんがひどい。
ドン吉が俺に比べられ気を悪くしていた。
「これは村から餞別だよ」
ハミコ様が代表して渡してくれたのはフレイルという武器だった。
なんでも途中の廃墟を中心にロースケルトンという禍獣が出没するらしく効果的に撃退できるそうだ。
鍛冶師のシンさんが限られた資材で作ってくれたという。ありがたいことだ。
さらにブギーマンの癒やしの布も持たされた。
「村にあったほうがいざというときに役立つでしょう」
「マモルちゃんがゲットしたレガリア級だからあんたが持ってなさい。またぎっくり腰になったらどうするの? 申し訳なく思うなら必ず持って帰って来ること。いいね」
レガリア級というのは魔物などがドロップするレリックの中でも特殊な優れた物をさす。
分類だけれど下から、
コモン、俗級
レア、稀級
エピック、秘級
レガリア、聖級
アルカナ、神級
アポクリファ、禁級
となっている。
アニルさんの鑑定では威武岐の猪突アーマーはアルカナ級でギガースの大剣はエピック級とのことだ。
ちなみにギガースの大剣には自発的組織化という自動修復機能が付いていた。
ケンちゃんとクロト君からは鉄帽に付ける新しいツノを貰った。
「ありがとう。お土産楽しみに待ってろ」
「早く帰って来てね」
「おう」
まだまだ教えたい遊びやいたずらがたくさんあるんだ。早く帰ってきたかった。
ダイさん、チュウさん、ショウさん、シンさん、ケンドー隊長、ジグロと再会を誓ってとっておきの鬼殺しで乾杯した。
翌朝、旅の無事を祈るため稲荷神社に参拝した。
久しぶりにコヨリ様が姿を現したので助六寿司のお稲荷さんだけあげた。太巻きは俺が食べる。
「人間として小さい野郎ですね。でもヌシとして一回り大きくなったように見えます」
「恐れ入ります、あなかしこ」
「これからも励めよ」
「へへーっ」
こうして俺たち二人と一頭は朝焼け空に向かって出発した。




