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美人すぎる国会議員と行く異世界旅  作者: Y.イヨネスコ
第一章 異世界転移

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ゴッドマザー


「よく温まったかい」

「はい、もちろん」

 

 撒け出た子供たちに続いて風呂から上がるとカラフルなお婆ちゃんが迎えてくれた。

 この共同浴場の受け付けをしてくれている長老のハミコ様だ。

 ダイたちの名付け親(ゴットマザー)でもある。

 開拓地への長旅で絞れたと言っていた身体はそれでも色々とはみ出してくるかなりのボリュームだ。

 

「はい私のおチチ」

 

 そう言ってミルクをくれた。

 そういう年寄りの下品なジョークはいらんから。シロミさんの気持ちが少しわかったかも。

 開拓団本隊は家畜もたくさん連れてきていた。

 何の乳かわらんが泉水でほどよく冷えたミルクは濃くて美味しく子供たちもグビグビやってる。


 俺は広い待ち合いの縁台のような長椅子にどっかりと腰掛けた。

 ここは社交場でも娯楽施設でもあった。

 もうすぐ仕事を終えた鬼族でごった返すことになる。


「マモルちゃん、あんたにちょっと変な卦が出てるよ」

「俺にですか」


 ハミコさんはいわゆるシャーマンだ。

 エクストラは占卜でよくピラミッド内部の祭壇で祈祷している。的中率は八割ほどらしい。

 多くは語らないがどうやら稲荷神コヨリ様と通じているようだ。


「旅行は吉と出ていた」

「いつ頃とかわかりますか」

「それはまだわからない。マモルちゃんしだいかもね」


 できればもう少し開拓地『オロカモン遺跡』改め『ニューオオガ村』の発展を見守りたいところだ。

 アスポートによる備蓄も満足とはいえない。

 シロミさんが持ち込んだ荷物はすべてチェック済でアポーツできるようになっていた。時間をかけてアポーツ、アスポートしていけば何十キロもある荷物を背負わなくてすむ。

 あとはシロミさんおよび日本政府の許可が出るかどうかだ。あれから1日に1回連絡を取るようにしている。

 昨日はシロミさんの希望でピザをリクエストしたが特に新情報はなく武市総理からの応援メッセージが貼ってあった。


 シロミさんが出てきた。湯上がりがまた色っぽいんだ、これが。

 これで眼尻が吊り上がっていなければもっといいんだが、顔が赤いのは上気しているのか怒りのためなのか。


「三助は不許可です」


 いきなりピシャリと宣言された。怒りのためだったか。

 くそ、どこから情報が漏れた。


「いや需要はあるからさ」

「では男湯限定で」

「それはヤダ……」

「動機不純を認めましたね」

「アグネスさんは賛同してくれたよ」

「婦人会の総意です。アグネスさんはあなたのファンだから別枠です」

「うー」


 シロミさんはさっさと御婦人の会を結成してその高い政治力を発揮していた。鬼族は元々がハミコ様に象徴される母系社会なのでこれは太刀打ちできなかった。

 マッサージ業もやっていたから三助を始めたら好評になると思ったのだが残念無念。


「おー、いたいたマモルさん、魚いっぱい獲れたぞー!」

 

 そこへ噂のアグネスさんが飛び込んできた。

 シロミさんのシャドー・ウィスパーが反応した相手だ。そして俺が異世界を夢の中と勘違いした元凶でもある。漫画の設定どおりヤキモチ妬きなのまで同じで、いまだに本当は夢の中じゃないのかと疑いたくなる。

 こんな老年の何を気に入ったのかよく構ってくれる。

 

「魚の捌き方教えて」


 アグネスさんはシロミさんを一瞥するだけで無視して俺を引っ張りだした。

 そこには小魚に囲まれて巨大魚が横たわっていた。

 ピラルク? ベルーガ?


「解体ショーでもやるか」


 急ごしらえの台の上で解体ショーを始める。

 仕事終わりの鬼族が集まった頃を見計らい日本刀のように長いマグロ包丁をアポーツした。ようやくこのサイズのアポーツが可能になったのだ。


「おーっ!」


 歓声を浴び気を良くして解体を進めるとピカピカの魚卵が大量に出てきた。これ美味しいやつだ。煮炊きしてもいいが半分はキャビアやイクラのように塩漬け、醤油漬けにしよう。

 横から助手よろしくアグネスさんが手伝ってくれる。


 飲食店経営をしていた頃、俺が40才ぐらいだったか女子高生のアルバイトからプロポーズされたことがある。

 もちろん断ったがそういうお年頃なのだ。

 そういった気の迷いに便乗する気はない。4年後大学を卒業して気が変わらなかったらと保険を掛けたおいたがそれっきりだった。

 惜しいことをしました。

 といってもアグネスさんに憧れている鬼族の若者はいるので、たとえば見張り台のガキとか。

 ジジイの出る幕ではないのだ。

 ただ自分のこれまで培ってきた技術を教えることができるのは素直に嬉しい。


 魚や肉の捌き方に限らず和洋中の調理全般から介護食にいたるまで教えることができる。

 料理教室でも開くか。

 学習塾だってやっていたし、パソコン教室はさすがに無理でも寺子屋ていどなら……。

 そこまで考えて俺はぞくりと鳥肌を立てた。

 無理じゃない!

 アポーツを駆使すればとんでもない学校を作ることができる。

 教育は基本のキだ。

 この異世界の学校や教育水準がどうなっているのかは知らない。

 だが学校は知識や技術を教えるだけじゃない。

 人として大切な資質、自主性、公共心、倫理感などを植えつけ育む「未来への投資」とも言える活動の場だ。村社会はある意味学校といえたが同時に子供は労働力でもある。

 当面の教師は俺とシロミさんで、せめて午前中だけでも授業を受けさてやれないか。

 教科は? 教科書はどうする?

 学習道具は?

 無責任なことはできなかった。

 俺はケンちゃんやクロト君たち可愛い子供たちをどうしたいのか。


 ここは日本政府の出番だな。まかせた。









 

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