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美人すぎる国会議員と行く異世界旅  作者: Y.イヨネスコ
第一章 異世界転移

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ある日、森の中


「はいスコッチウィスキー」

「「スコッチウィスキー!」」

 

 ケンちゃんと妹のチョコちゃんをカメラに収める。急造ながらピカピカの赤い鳥居の前で記念撮影だ。いいウィスキースマイルしてるよ。

 ケンちゃんの幼い妹は舌足らずでかわいくてみんなのアイドルだ。

 滑舌の悪いチョコちゃんとケンちゃん。

 チョコちゃん、ケンちゃん、ノスタルジーを感じて泣きそうです。

 

「では全員で集合写真を撮るよー! 並んで並んで!」

 

 電池があるうちに撮れるだけ撮ってしまおうという魂胆だ。

 ソーラー充電器どころかモバイルバッテリーすら見たことがないので今はお手上げだった。

 店舗付き住宅なのでコンセントのない生活はしたことがなかったしあとは車載充電器があれば事足りたのだ。

 しかし軽バンを呼び出せるようになれば話は違ってくる。充電環境が整うのだ。

 あとはガソリンを給油すれば中古とはいえ長期間保つはずだ。


 せっかくの写真だしいつかプリントして鬼族のみんなに配ってあげたい。

 残念ながら今のアポーツは軽バンのサイズにまるで届かなかった。

 電源さえあればプリンターやら電化製品、電子機器をアポーツしてやれることが増えるのに。

 いかに電気に頼った生活をしていたかわかるというもんだ。


 撮影会が終わってそれぞれ伐採、整地といった開墾作業にもどっていく。

 俺も若ければ手伝うのだけど湿布薬をアポーツする光景が目に浮かぶだけだ。

 だから俺はそんな彼らを横目に外堀に向かった。

 堀の中には魚影がゆらゆらと行き交っている。

 そこら辺の虫や木ノ実、野菜クズを片っ端から餌にしてアポーツした釣り針に付けるつもりだ。竿は形の良さげな木の枝をつかっている。

 ラインはもちろん科学技術の結晶、合成繊維だ。このために夜中にタイマーで起きてアポーツした。

 アポーツしなかった分が累積されるといいのだが現状無駄になってしまうので、欲しい物リストを作って順に消化しているところだ。

 リールやカーボン製の振り出し竿も欲しかったが一式としてアポーツできなかったのでちまちまと収集するしかない。


 お堀の水源はこんこんと湧く泉なので泥臭さとか心配しなくても良さそうだ。


「魚だけにウオッ! と」


 投入後数秒でヒットした。釣り人相手にスレていない純朴な魚を騙すようで申し訳なく思う。

 ……。

 ピラニアかな?

 鋸刃(のこば)のたいへん凶悪な顔をしたお魚が釣れた。ギョギョッ!

 絶対この堀には落ちたくない。


 あとから鬼族に聞いたところ小さな獲物しか狙わないため襲われる心配はほぼないそうだ。

 味は淡白で塩焼きにするとタイに似ていた。当然ながら潮汁も美味しゅうございました。


 ミズク様は食事をすることはないがお供えにすると喜んだ。本当は油っこいものが好きらしいのでもう少し豊かになったらソテーや唐揚げを供してあげたい。


※ ※ ※ ※


 毎日お堀端で釣り三昧というわけにもいかないので猟師のチュウさんについて周辺の探索にも加わった。面子は交代制なのか毎日入れ替わる。この日はショウさんとアグネスさんだ。


 猟師も釣りと同じで朝が早い。

 未明から起きて準備をする。

 森へ踏み入る前に何やら祈りはじめるチュウさん。

 土地神に挨拶して許可をもらっているようだ。

 土地神ってもしかしてヌシの俺だよな。


(いつでも入ってよし)


 心の裡で許しを出したおいた。


 基本は罠猟なので仕掛けを巡回するところから始まる。小動物を対象にした罠を獣道などあちこちに仕掛けてあるのだ。

 チュウさんは弓矢も携行しているがオリンピックで見たアーチェリーの半分ぐらいのサイズで鳥射ち用だ。

 威力はないが顔の正面に構えて引くので命中率は高い。


「また空振りですね。ここへ来て初めてじゃないですか」

「はぁ、こんな日もあるさ。よし、まだ時間も早いから川沿いにもう少し奥に進んでみよう」


 最後の罠を確認したショウさんにチュウさんがため息をつき提案した。

 オロカモン遺跡の泉もそうだがこの川もコイビト山からの伏流水のようでとても澄んでいる。

 所々いいポイントがあったので頭に入れておく。異世界ピラニア以外にもマス、ヤマメ、イワナの親戚がいるに違いなかった。さっきアポーツしたばかりの竿を出すのが楽しみだ。


「止まれ」


 ふいにチュウさんが姿勢を低くした。

 俺たちもそれにならう。


「何かいる」


 ささやいて前方を凝視する。

 チュウさんは何らかのエクストラじゃないかと思えるほど森の違和感を察知する能力に長けている。

 あそこに鳥がいると指さされ事細かに説明されても素人には発見不能だったりするのだ。


「気のせいだったか」


 首をひねりながら振り返る。


「おいアグネスはどこだ?」


 言われて初めてアグネスがいないことに気づいた。さっきまで確かに俺の隣にいたはずだ。


『まがいもののツノを付けている男よ。女を返してほしければこの先にある滝まで一人で来い』


 どこからか声が届いた。


『武器は持ってくるな。荷物は全部そこに置いていけ』


 アポーツは……使えない。竿を入手したばかりだ。

 しくじった、ミズク様に守られた遺跡じゃないんだ。万が一に備えておくべきだった。


「どこだ卑怯者!」

「臆病者め姿を見せたらどうだ!」

「アグネスさん! どこですかアグネスさん!」 


 口々に叫ぶが(いら)えはない。

 ただ静寂だけが俺たちを包む。


「チュウさん、ショウさん行ってきます」


 俺は担いでいた荷物をおろした。その上に銃とスプレー、ナイフを置く。


「ダメだ! 相手は何者かは知らんがはマモルさんを恐れている。だから武器を手放すな!」

「そうだよマモルさん、考えなおして!」


 二人は制止するがアグネスさんを見捨てるわけにはいかない。


 ミズク様はヌシとして何をしてもいい、何もしなくてもいいと言った。


 俺はする方を選びたかった。
















 

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