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美人すぎる国会議員と行く異世界旅  作者: Y.イヨネスコ
第一章 異世界転移

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この世ならざる者


「このように長い長ーい旅路をしてきたんだよ」

 

 俺はミズク様の長い長ーい話を聞かされていた。

 地名などはあやふやで阿呆陀羅国とかデブデブ王とかてきとうな国名や人名ばかりで参考にならなかった。隣国ではそう呼ばれていたと、覚えやすい方が記憶に残ったようだ。

 なんとなく漂泊してきた順に地図を作成しようとしたが位置関係や方角が不明ではどうしようもない。

 

 それでもこのミズク様命名のオロカモン(・・・・・)遺跡とその周辺の地理は把握できた。

 まず中心に富士山のような山が二つ。高い方がオノコ山、低い方がオナゴ山。二つ合わせてコイビト山だ。


 オロカモン遺跡はその南に位置している。その西にオオガの村。オオガ村のさらに西がリザードマンの国だ。

 オオガ村は鬼族の国に属している。つまりコイビト山の南側はほぼ鬼族の国だ。


 コイビト山の西はドワーフの国、北はエルフの国、東は獣人の国。だいたいそんな感じだ。

 他にも猿人や昆虫人、人魚の国などもある。


「獣人の国に住もうとは思わなかったのですか?」

「王族のタヌキどもと折り合いが悪くてな」


 ミズク様がフォクシーな眼尻を吊り上げた。相性が合わなかったようだ。


「この異界の地をめぐってわかったことが一つある。それぞれの国というか縄張りに(ぬし)が必ず居る」

「ヌシ? 山のヌシとか川のヌシみたいな」

「土地神、産土(うぶすな)神ともいう。ところがその中に旧知の威武岐がいた。

 このオロカモン遺跡の北にある森でばったり出会って驚いたよ」


「そういえばは何柱もの御霊が招かれていると言っていましたね」


「大和の国ばかりではない。唐土(もろこし)天竺(てんじく)波斯(ハルシャ)やさらに西域からも来ていたぞ。八岐大蛇(ヤマタノオロチ)より首の多いのもいたな」


 それきっとヒュドラです。ギリシャ神話とかに出てくるやつ。

 ちなみに波斯はペルシャのことね。平安京は東の果てなので流れ者が吹き溜まるみたいでペルシャ人もいる国際都市になっていたとか。そういえばミズク様こと玉藻の前も天竺から唐の国を経由して来たっけ。


「聞けばこの地のヌシであった鬼神と争って追い出したそうだ。で、しばらくはオロカモンの都で祀り上げられたわたしと仲良くやっていた。

 ところがあの愚王めが霊験師とかいう陰陽師もどきにわたしを封じさせた。王族の権威を大きくしたかったのだろうがそれに怒った威武岐が暴れ回ってこの有り様だ。

 わたしが霊験師の迷宮から外に出たときにはすべてが終わってから何十年も経っていたよ。

 おとなしくしていた威武岐がまさかこの地のヌシとは思わなかったのだろう」


 よく勝てたな俺。都を一つ滅ぼしたヌシとか下手したら死んでいたぞ。


「あ、そうだミズク様、背中の痣みたいな模様なんですけど何か知りませんか?」

「どれ見せてみ」


 俺は上半身裸になって背中を向けた。


「ふむ、これは大和の国、八洲(やしま)伽羅(から)から唐土にかけてか」

「ええっ? 日本だけじゃないの?」


 そこで思いついてスマホをアポーツした。

 これまで充電の目処が立たなかったため諦めていたがカメラ機能を使うのが手っ取り早かった。

 よかったバッテリー残量100%だ。


「すみません、これで背中を撮ってもらえますか。ここを押してもらえば写りますので」

「こやつあやしき物を出したな」


 戸惑いながらも撮影してくれた。

 見せられた背中の痣はどう見ても日本列島と大陸の一部を含んだ朝鮮半島だった。

 いつだったかダイがなぞった部位より半島の分だけ明らかに下へずれている。

 ミズク様、自撮りしてないで返してくださいよ。

 というか痣について教えてほしいんですが。


「ほれお主も一緒にどうじゃ」


 パシャリ。

 ピースサインで写ってしまった。

 ピースサインが気に入ったらしくミズク様も真似している。


「それでこの背中の痣なんですが……」

「威武岐に勝ったからだろうね。あるいは威武岐に代わってこの地のヌシになったからか」

「またまた、お戯れをおっしゃる!」

「ふざけてなどいないよ。その方こそ自覚が足らんのではないか、この世ならざる者として」

「それだとまるで幽霊じゃないですか。ほら、この通りここに存在していますよ」

「ふっ」


 ミズク様が鼻で笑った。


「そうだね、この世ならざる者としてここに()るな。

 でなければ普通の人間に威武岐が負けるものかよ」

「ではヌシになっていたとして俺、わたくしはどうすればいいのですか?」

「何をしてもいいし、何もしなくてもいい」


 そんなトンチ問答みたいなことを。


「せめてヒントとかもらえませんか?」

「ヒント?」

「助言とかアドバイスみたいな」

「それならば元の世界より女を呼び寄せればいい。すべてはそれからだ」

「うーん」


 俺は踏ん切りがつかなかった。

 必要性を感じないのだ。一人でやれているしオオガ一族のおかげで孤独も感じない。多少は不便だけど田舎暮らしを始めたと思えばありだった。

 むしろ異世界の毎日のほうが新鮮だった。

 それに元の世界からいきなり女を召喚するなど人さらいも同然だ。

 岡田奈◯ちゃんを呼べなくて本当によかったよ。あやうく犯罪者になるところだった。


 ミズク様は力とか助っ人と言っていたが助力を求める未来、シチュエーションが想像できなかった。

 うん、想像力が足りんかっただけなんだけどね。

 すぐに俺はヌシとしての覚悟を求められることになった。

 鬼神がヌシの座を取り戻しにきたのだ。



 

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