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第32話


 「ほら、これ」


 「…何、これ」


 「見てわかるやろ」



 彼が渡してきたのは、薄汚れたグローブだった。


 最初は何か分からなかった。


 見た感じボロボロで、すっかり色褪せてて。


 グローブだって言うのはわかったよ?


 すぐにね。


 でも咄嗟のことで、「何?」って思ってしまった。


 それが昔使っていたグローブだって、気付かずに。



 「…これ」


 「お前が持って来いって言ったんやで?」


 「私が…?」


 「…はぁ、とぼけるのもええ加減にせぇよ」



 懐かしかった。


 初めて、野球のボールを触った日のことだった。


 キーちゃんに誘われて出かけた夏休みの午後。


 この須磨海岸の砂浜で、一緒にキャッチボールをした。


 雨上がりの空の下。


 真夏の日差しが降り注ぐ、穏やかな海辺で。

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