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第24話



 「…嘘…でしょ…?」


 「は?なにが?」




 …何が?



 空は、午後に向かって回転していた。



 ひぐらしの声が、涼しい風の向こうに流れていた。



 降り注ぐ夕陽。



 木漏れ日の下に隠れる、——石垣。





 嘘だ。



 見開いた目の奥で、時間が止まる。


 

 真っ二つに割れている空と、色鮮やかな情景と。



 





 亮平が、目の前にいる。



 亮平に間違いなかった。



 間違いなく、それは「彼」だった。



 一目でわかったんだ。



 何気ないその仕草や、立ち姿を見て。



 

 …だけど、そんな嘘みたいなことが…




 目を擦る。


 何度も、瞬きをする。


 あるはずのない景色を目の当たりにして、とめどない感情が、胸の奥から込み上げてきて。



 “そんなわけない”って、思えた。



 彼は今病院にいて、ずっと寝たきりだった。


 ずっと会えずじまいだった。


 今日だってそうだ。


 会いに行こうとしたけど、結局…




 「はよ行くで」




 行く…?


 行くって、どこに?



 わけもわからないまま、その場に立ち尽くしてた。


 思うように足が動かなかった。



 頭も、声も。




 「…亮…平?」




 彼の名前を呼ぶ。


 目の前にいる人が誰かを、確かめようとする。


 そんなのは、わざわざ確かめるまでもないことだった。


 見ればわかることだった。



 亮平。



 言い慣れたその名前を、声に出せば——

 

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