修羅場は突然に
「もう行っちゃうんですか?」
「えぇいい宿で出ていくのが嫌になりますが夫が心配するので……」
クリームヒルトは相変わらず演技がうまいなぁと思いながら騙していることの罪悪感に少し苛まれていた。
「それもそうですね こんな美人さんをずっと離しておくなんて怖いですもんね 本当にありがとうございました!」
「こちらこそ」
「ほらお父さんもお礼!」
「またいらっしゃい坊や もう数年すればいい男になってるわぁ! ただで泊めてあ、げ、る♡」
僕は何が起こったのか分からず少し困惑する。
昨日までナイスミドルで格好よかったオーナーがいつの間にかメイクをしてここに居る。
理解不能だ。
「あ、ありがとうございます?」
「もうお父さんジーク君が可愛いからってナンパしない!」
その様子を突っ込まないメイドさんを見てこの人元々こう言う人なのかと少し納得する。
なら昨日のは何だったのか謎が深まる。
まぁ、僕がまだ若いから理解できないのだろうと無理に納得した。
「冗談よ でもいい男になってると思うのは本当 感だけどねー!」
「お母さんも今でもいい男だけど年をとったらもっといい男になると思うわ」
誰がお母さんだ。
僕の母は故郷のお母さんだけだ。
「お父さんの感は当たるって評判なんですよ よかったねジーク君」
「……また来ますね」
喜んでいいのか分からず僕はそういいホテルを後にする。
また来るかは分からない。
(まさかナンパしないように少し弄ったらあぁなっちゃうとはねー新しい発見だわ まぁ、あっちの方がいいか……でもジークをナンパしようとした時は消そうと考えたわ
ジークは私だけのもの他に手を出そうとするやつは皆消えればいい 見逃してやったのは娘ちゃんがいい人だったから母親似だったことに感謝しなさいよ)
「……まだついてくる気?」
そんな事を考えていると前にいるジークはそう話す。
当たり前ずっと一緒
「どこまでも着いていく 冥王星でもどこでも それが妻の役目」
「妻にした覚えないし そもそも一緒に行動していいなんて許可した覚えないんだけど!?」
相変わらずツンデレだなぁそういう所もかわいくていいが
「およよ……一緒に居たくないの? それならしょうがない」
「そんな顔しないでよ! 一緒に居たくないって訳じゃなくて一人で冒険したいの!」
「それってつまり冒険以外は一緒に居たいって事!?プロポーズ!?結婚の準備するね! 招待状はジークのお母さんだけでいいわよね。他の人にジークの結婚服見せたくないもの 式は和式?洋式? うーん純白に包まれたジークもみたいし黒の格好いいジークも見たい 決められないこれは運命の選択 なら二つともやろうか?」
「やっぱり一緒に居たくないかな……」
もう本当にツンデレなんだから!
その後ジークと話し合ってルールを決めた。
着いてきてもいいが冒険や戦闘は例外を除いて一人でやらせること。
ジークの事は信頼しているけど心配がないかといえばNOだ。
だから例外があった場合は参加してもいいと付け加えさせた。
世の中イレギュラーはある。
特に●●の影響があるかもしれない。
その時は私が守るそれが私の責任。
「まだ歩くの?私の飛行なら一瞬で着くのに」
「もう気を失いたくないしそれってずるじゃない?みんな徒歩でダンジョンに向かってるのに僕だけなんて」
「相変わらず真面目 どれぐらい真面目かというと学校生徒だけで楽しもうとしてるときに」
「ついた!」
ジークは洞窟を見つけダッシュしていく。
相変わらず子供だなぁ。
そういった好奇心旺盛の所も好きだけど
「一週目で会話イベント飛ばしてダンジョンに行くのはどうかと思う。大事なヒントあるかもしれないのに」
私はジークの後を追う。
その時ジークに夢中で私は洞窟から発せられる嫌な気配に気づかなかった。
恋は盲目だから仕方ないよね?
「なんでこんな低ランクダンジョンでスケルトンジェネラルなんているのよ!!ここはスライムとロースケルトンしかいないはずでしょ!?」
「知りませんよ!そんなことよりもっと走ってください!」
「もう限界だって! 私の装備重量分かる!?あなた魔法使いだから分からないか!」
「私だって杖重いんですよ!それより前」
「へ?」
前を見た戦士の風の女性は見たときにはもうブレーキをかけられない状況だった。
「きゃっ!」
「いたた大丈夫ですか?」
「こちらこそ鎧でぶつかったけど大丈夫?」
「いえいえ大丈夫です鍛えてますから」
2人はそう謝りあいながら顔を上げる。
「キュン 可愛い男の子!結婚して!」
「へ?」
この塵ジークに求婚を……殺す
「口でキュンっていう奴っているんすねーそもそも開幕いきなり求婚は重いっす ってそんなことより早く逃げないと!」
「それもそうね!ほら逃げるわよ!逃げれる?無理そうなら抱っこしようか?」
そう言うと塵はジークを持ち上げようとする。
そうはさせるか
「何するつもり?ジークを抱っこしていいのは私だけ」
「はいはいお兄ちゃんに抱っこされるのまちがいでちゅかー?」
わたしを見下しながらそう言ってくる。
むかつく
「ジークはあんたみたいな年増より私の方がいいに決まってる」
「誰が年増よ!まだ20歳よ!」
「そりゃこの子からみたら年増でしょ ってそんなことより逃げましょうよ スケルトンどうしていいか分からず困惑してますよ」
「ここで逃げたら私が本当の年増みたいじゃない!」
「そっちじゃなくて!あぁ、もう少年からもなんか言ってくださいよ!」
「そ、そうですね 呆気にとられてました こらクリームヒルト喧嘩しない!」
そう言ってジークは私の頭をポンとたたくかわいい。
「いくら可愛いジークの頼みでもこれだけは譲れない。
どれぐらい譲れないかというとどこかのRPGの花嫁論争レベル」
「そうよ譲れないわ!」
「はぁー本当にごめんなさいこのバカこう言うところあるんです」
「うちの連れもすみません」
2人はスケルトンと相手に謝る。
スケルトンも困惑した様子でいえいえという様子だ。
うざい
「さっきからガチャガチャうるさいのよ!」
「うざい!」
そういい私は魔剣を展開したと同時に鎧の塵も武器を展開する。
「なんでそうなるんすかー!?逃げるんですよ!!」
「戦闘は僕にやらせるって約束じゃなかった!?」
もう私達に言葉など届いて居なかった。
そこから行われたのはただの蹂躙だった。
骨は飛び散り再生できないぐらいにバラバラになる。
まさに地獄絵図
「なんなんすかお宅の連れ 聖属性もなしにスケルトンジェネラル昇天させてるし剣から炎出てるし」
「そっちの連れも剣からビーム出てるし骨を木っ端微塵にしてるの何なんですか?あ、もう終わりそうですよ」
「中々やるじゃない!」
「あんたも塵の分際でよくやる」
「誰が塵よ!!」
そういい鎧の塵が斬りかかってくる。
やはりこの光……
私は足元にあったスケルトンを蹴り上げ盾とする。
塵はスケルトンを切り刻みながら進んでくる。
「あんたしかいない!」
わたしは魔剣で迎撃する。
塵は魔剣を剣で防御する。
魔剣に耐えられるのは魔剣かあれしかない。
「まさかあんたみたいなのが聖剣使いとは協会もよっぽど剣士不足が進んだのね」
「意外だった?まぁ私の方はあんたが持ってても違和感ないけどね!」
「そこで止めっす このままやったら大事な少年まで死にますよ」
そういい汗を流すジークを前に出す。
この2人の剣気を浴びたんだ無理もない。
「!ごめんね 僕怖がらせちゃったわね」
「ごめん ジークはしゃぎすぎた反省する だからお仕置きして!」
それはご褒美か
「しないよ!後怖がってませんか……」
ジークは倒れる
やりすぎたクリームヒルト反省。
次は必ずすぐ殺すから安心して
私は剣を消す。
塵も剣を鞘へとしまう
一時決着か
次は殺す。
次回に続く