第1話 にじのかけら 7
犬の女の子、イヴとミルクが にじのかけらをさがして だいぼうけんに!
対象:小学校三年生位~
読み聞かせや癒されたい人にもおすすめ☆
「そんなことできないわ。ぜったいに。
ライバル店で買い物をするなんて。
後で、シャロルはわたし達を笑いものにするにちがいないもの」
「そうね。それにわたし達には、そんなこうかな物を買うよゆうはないもの。
どう考えても無理よ」
イヴがミルクの意見にさんせいしました。
「……でも、じゃあ、どうするの」
ポチが小声でこう聞くと、一同はシーンと静まり返ってしまいました。
このままでは、二人の店の今後にかかわる大問題です。
シャロルの店に負けないように、何か手を打つ必要があります。
少したって、冷たくなったコーヒーを一口飲んだ後に、ダイが言いました。
「では、イヴとミルクもにじしょく人に粉を分けてもらうのはどうだろう。
そうしたら、シャロルがどんな新しいにじの商品を売り出したとしても、二人はちっともこわくないわけだ」
それはみんなに、すばらしく思えました。しかしリリスが言いました。
「でもにじしょく人はもう、別の所へ行ってしまったんだよ。
にじしょく人は天にやとわれた者だから、風のように早くいどうできるし、次にどこにあらわれるか、全くだれにも分からないんだ。
にじしょく人のいばしょが分からないのに、どうやってにじの粉をもらおうって言うの」
「それでも、にじしょく人を見つけるしかないわ。
でもそれは、きっと長い旅になるわね」
イヴが静かに、ゆっくりと言いました。
目は、両手で包むようにして持っていた、コーヒーをじっと見つめています。
イヴのひとみはとてもしんけんで、もう決心がついているようでした。
生き物にはだれしも、生きているうちに旅に出る必要が、必ず一度は来るものなのです。
それは遠い、近いにかかわらずね。
イヴはそれが、きっと今なのだと、すばらしい犬の直感で分かったのでした。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2024年5月10日です。
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