第1話 にじのかけら 5
犬の女の子、イヴとミルクが にじのかけらをさがして だいぼうけんに!
対象:小学校三年生位~
読み聞かせや癒されたい人にもおすすめ☆
「天にはたくさんの種類のしょく人がいてね。
かれらはにじを、かける空にできるだけ合うようにして作るんだ。
けれど全くもってぴったりのサイズには、どうしてもできないらしい。
だからにじをかけるために天からつかわされたにじしょく人は、空ににじをかけた時、もしそれが短すぎればのばすし、大きすぎたらおのやのこぎりで切ったり、やすりでけずったりする。
そうして、それぞれの空にぴったりの形になるよう、にじを調節して空にかけるんだよ。
ほら、たまに色がうすかったり、みょうに細いにじを見たことがあるだろう? あれはにじの長さが足りなくて、にじしょく人が地上でのばした物なんだよ」
リリスはたまごのサンドウィッチをかた手に、コーヒーをむちゅうで飲みながら言いました。
そして(帰ったら、すぐにねむらなくちゃ。ママ達が起きだす前に。
でも、こんなにコーヒーを飲んだら、きっともうねむれっこないだろうな)と、わくわくと思いました。
リリスは話を続けます。
「そして今朝、そのにじしょく人が森のおくでにじをかけた。
でもそのにじが大きすぎたから、少しはしっこをけずったんだ。
そしてその粉を、運よくシャロルが手に入れて、自分のほうせき店で午後から売り出した。
それを、パーティ帰りで昼まで出歩いていたお母さんが、少し買ったんだよ。
大人の魔女だけ昼間も出歩いていいなんて、ぜったいに不公平だよ」
リリスはふくれっ面になりました。
「お母さんが家に帰って来た時、わたしはベッドの中で目が覚めてね。
お母さんがお父さんにその話をしているのを聞いたんだ。
そして二人がねむるのを待って、ビンをこっそりここへ持って来たってわけ」
ところが話のとちゅうでシャロルの名前が出て来たとたんに、ミルクは鼻にしわをよせて、あからさまにいやな顔をしました。
シャロルとは美しいシャムネコで、森の反対側にミルクと同じような、こう水やジュエリーを売る大変大きな店を持っていました。
がんらいネコと言うものはみんなそうですが、シャロルは特にわがままでした。
その上うぬぼれが強くて、ミルクの小さな店をライバルししていました。
だから何かと、ミルクやイヴにいじわるをしてくるのです。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2024年5月2日です。
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