第2話 旅じたく 13
犬の女の子、イヴとミルクが にじのかけらをさがして だいぼうけんに!
対象:小学校三年生位~
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
リリスは手のひらにコンパスを乗せ、二人に見せてくれました。
不思議なことに、コンパスのはりはなくなっていました。
その代わり中にはにじの粉が、ぎんがのようにちりばめられていました。
見ている間に、そのにじの粉はだんだんとコンパスのはじにまとまって行き、
しまいにはコンパスのある一か所に全部が集中して止まりました。
それは西南を指していました。
粉が集まっている所は、にじしょくにんのいばしょを指しているのです。
にじしょくにんが動くのに合わせて
にじの粉がコンパス内をいどうし、かれのいばしょをしめすのです。
コンパスの中央はミルク達のいる場所です。
つまりミルク達がにじしょくにんに近づけば、粉は自然に中央にいどうします。
そしてみんながにじしょくにんに出会った時、
完全に粉は中央の一点に集中するというわけでした。
「にじの粉がこの中にあるかぎり、にじしょくにんの場所をしめし続ける。
取り出せば、またただのコンパスにもどるけどね」
リリスがもう一度コンパスを思い切りふって、粉をバラバラに散らしました。
粉はゆっくりとひとりでに、また一か所に集まりました。
「魔法って、何だかうすきみ悪いものだと思っていたけれど、
本当はとってもきれいなものなんだね。
これを見てぼく、クリスマスにかざるスノーボールを思い出しちゃった」
ポチが感心したようにほっと息をつき、こきざみにはい色のしっぽをふりました。
「さあ、これでもうわたしの仕事は終わり。
早く帰ってベッドにもぐらないと、お母さんに見つかっちゃう。
それに、わたしの家にあるこう茶が冷める前に帰らないと、
魔法で家までもどれなくなるんだ」
リリスはミルクとポチのそれぞれに、おやすみのハグをしました。
それから急いでティーカップを手に取り、立ったままでお茶を飲み始めました。
そしてリリスは、二人の心配そうなしせんにウインクで返したと思うと、
もうすがたが見えなくなっていました。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2024年7月31日です。
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