第2話 旅じたく 12
犬の女の子、イヴとミルクが にじのかけらをさがして だいぼうけんに!
対象:小学校三年生位~
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
「このコンパスは学校のじゅぎょうで
みんなに配られる物だから、そんなにいい物ではない。
それに、わたしもまだ子どもで魔法は勉強中。
だけどだいじょうぶ、まかせといて。
家でだいぶ練習して来たんだ。
だから、そうだな、かくりつは四十八パーセントってところかな」
ミルクとポチは、顔を見合わせました。
これではどうにも不安です。
けれど手がかりが何もないので、しかたがありません。
リリスの魔法にたよるより他ないのです。
リリスは自分の前にコンパスを置き、
その手前にハンカチに乗せたにじの粉を置きました。
そしてうでまくりをすると、ひじを高く上げました。
そしてリリスは、自分の目の前の空間を
包むように両手を開き、手のひらを下に向けました。
それはいっしゅんのことでした。
ミルクとポチが気がついた時には、
にじの粉はコンパスの中に入っていました。
それが星のようにキラキラと光っているのが、
二人にはコンパスの小さなガラスごしに見えました。
せっかくリリスが集中しているのに、じゃまするのは悪いと思い、
ミルクはできるかぎり小さな声で、でも力をこめてたずねました。
「それでリリス、次はどうするの。
次はどんな風に魔法をかけて、コンパスを完成させるの?」
ミルクは、リリスのいつもは見せないしんけんなひょうじょうや、
にじの粉をコンパスに入れたてぎわのよさに、すっかりおどろいていました。
そして、きっとこれからもっと多くのことをして、
コンパスにどんどん魔法をかけていくのだろうと思ったのです。
でもそれはミルクが思っていたよりも、ずっとたんじゅんだったのです。
「なあに、これでもうおしまいだよ」
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2024年7月26日です。
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