第2話 旅じたく 6
犬の女の子、イヴとミルクが にじのかけらをさがして だいぼうけんに!
対象:小学校三年生位~
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
ピッピとチッチは、
この店のあらゆる品物を本当によく知っていました。
店のおくで二羽は、太陽光パネルやちく電池も見せてくれました。
かれらによると、これがあれば自転車を動かす力で電気を作り、
ためておいて夜に使うことができるのだそうです。
それにまんがいち走れない日が続いても、
旅の間お日様のエネルギーで生活できると言うのでした。
またイヴは二羽から、乗り物へ自動運転そうちをつけてもらうよう、
ケンにたのむようすすめられました。
そうすればためた電気でたまには乗り物を走らせて、
その間イヴとミルクは別のことをすることもできると言うのです。
もっとも、それにはたくさんの電気が必要になりますから、
たまに、ほんのちょっとしか使えないようですが。
それから、屋根の一番上には、
ウミウの漁師が置いて行った大きなあみを、
ぜひつけるようにていあんされました。
食べ物にこまったらこのあみを使って、海や湖で漁ができるし、
気持ちのいい日には、それをハンモックにしておひるねができるからちょうほうするだろうと言うことでした。
二羽の熱い説得に、イヴはそれも乗り物に取りつけることにしました。
「ピッピとチッチのリサイクルショップ」は、
物がたくさんあるだけでなく、ひらめきにもあふれた所でした。
イヴは二羽のわき出るようなアイディアを聞くたびに、
早くこのことをみんなに教えたいと思いました。
最後にイヴはもらう物すべてに、
目印にもも色の紙札をくくりつけました。
三人は、たまたまそこを通りかかったしかの家族をよび止めました。
そしてかれらに手伝ってもらい荷物を店の中央に、
ひとかたまりにまとめました。
それがすんでしまうとイヴは、
ピッピとチッチに明日ミルク達とすべての物を取りに来る約束をして、
その日は帰ることにしました。
イヴ一人でこのすてきなアイディアのすべてを運ぶのは、
とてもできませんものね。
「どうもありがとう。本当にあなた達のおかげで助かったわ。
みんながどんなにびっくりして、喜ぶかしら」
別れぎわにイヴが、ピッピとチッチにていねいにお礼をしました。
「いつでも! またおいでよ」
ピッピがえだの上から、羽をはばたかせて言いました。
となりにとまっていたチッチは、またウインクしました。
「本当に、楽しかったわ」
イヴの手助けができて、二羽はとても満足そうでした。
イヴは歩き出しましたが、すぐにまたくるりとふり返ると言いました。
「今週の水曜日にカフェにいらっしゃい。
たきこみご飯を作る予定だから。
もちろんカフェに来るお客さん用だけれど。
最近ではシャロルのにじかけらのおかげで、
お客さんがめっきりへってしまったの。
だからきっと、あなた達の分くらいは残ると思うわ」
それを聞くと、ピッピとチッチはうれしくなって空にまい上がりました。
そして歌いながら、おたがいにらせんをえがくようにせんかいして、
そのまま森のおくへと消えて行きました。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2024年7月4日です。
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