第1話 にじのかけら 2
犬の女の子、イヴとミルクが にじのかけらをさがして だいぼうけんに!
対象:小学校三年生位~
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
「まだこんなに明るいうちから出歩いて、お母さんにおこられやしないの、リリス」
ミルクが、リリスにかけよりたずねました。
「お母さんはいつだっておこっているよ。おこるのが仕事みたいな生き物だからね」
リリスは鼻にしわをよせて、いたずらっぽく笑い、話を続けました。
「この前も、正午の太陽を観察しようと思ってね。
わたし、こっそり昼まで起きて、屋根うら部屋にかくれていたんだ。
でも、結局お母さんに見つかって、ひどくしかられたさ。
魔女は昼間はねて、夜に活動するものだって。
小さいうちから昼間に起きていたいなんて、お母さんはわたしをひどく変わったむすめだって言うんだ」
リリスは、乗って来たほうきを表のドアのわきに、なれた手つきで立てかけました。
そして、そのままいきおいよくドアを、バタンとしめました。
けたたましくドアをしめるのは、魔女にとってはれいぎ正しいやり方なのです。
「それにお母さんは、わたしがあんた達犬族となかよくするのも、ちっともよく思っていないんだ。
魔女はネコと、人間が犬となかよくするものなんだって。
どうしてって聞いたら、もう大昔からそういう風に決まっているんだなんて言うんだけど。
でも、あいつらネコって気取ってて、わたしは好きじゃないな」
「コーヒーとサンドウィッチはいかが」
イヴが、かた手にコーヒーポットを、もうかた方にはサンドウィッチがたくさん乗った大皿を持って、リリスのもとへやって来ました。
ポットは温かくて、そこからコーヒーのいいかおりがただよってきます。
はだ寒い夕方に、友達と楽しく話をするには、何か少しつまめる物と、コーヒーが一番いいのです。
「いいね。ぎゅうにゅうたっぷりでお願い。それからたまごのサンドウィッチがあったらちょうだい。
ああ、まだ明るいうちに何か食べるなんて、わくわくする」
リリスはにこにこしながら、みんなの囲んでいる、茶色い木のテーブルにつき、イスの下で足をバタバタさせて喜びました。
「ところで、何だってまたこんな時間に、あわててやって来たんだね」
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2024年4月18日です。
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