第2話 旅じたく 2
犬の女の子、イヴとミルクが にじのかけらをさがして だいぼうけんに!
対象:小学校三年生位~
読み聞かせや癒されたい人にもおすすめ☆
その「私達のカフェ」に来る鳥の中に、
ベニスズメのふうふがいました。
だんなさんをピッピと言い、おくさんの方をチッチと言ます。
二人には毎日通っている場所がありました。
それは「私達のカフェ」を西に十分ほど飛んだ
森の中にある空き地です。
でも、それはただの空き地ではありません。
みんなが家ではもう使わなくなったけれど、
すててしまうにはもったいないと思う物を、
持ちこんで置いて行く場所なのでした。
また何かほしい物があって
「ちょっとした物はないかしら」と、
森の動物達が見に来る場所でもありました。
もちろん気に入った物があれば、
いつでもだれでも持って行ってかまわないのです。
それがここのルールでした。
さて、ピッピとチッチがこの場所に初めて来たのは、
ここができて少したったある日の午後のことでした。
ジュウシマツの姉妹が二人をたずねて来る予定があり、
その食事会で使うお客様用の
スプーンをさがしに来たのです。
ピッピとチッチがこの空き地へ来てみると、
家具も本もアクセサリーも鳥の巣も、
とにかくそこには何でもありました。
もちろんお客様用の銀のスプーンも。
ピッピとチッチの話なので、
もしかしたらそれは銀メッキのスプーンだったのかもしれません。
でもとにかく、二人が見つけたスプーンは
お客様をよんだ食事会にも
使えるしっかりした物だったのです。
それからというもの、二人は一日の何時間かはここへ来て、
だれがどんな物を置きに来るか、
またどんな物を持って行くかを見ているようになりました。
だってそれはおもしろいことですし、
毎日持って来られる色いろな品物を見るだけでも、
心がときめきますものね。
そういったわけで、この広場にはいつも二人がいました。
そしていつしか森中のみんなが、
この広場を「ピッピとチッチのリサイクルショップ」と、
よぶようになったのでした。
ですから、イヴとミルクが乗り物の材料の事を考えた時、
最初に頭にうかんだのがこの店だったのです。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2024年6月21日です。
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