表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/158

第1話 にじのかけら 11

「いつ()てもおもしろい(かたち)(うち)ね」


 ミルクがケンの(いえ)見上(みあ)げて()いました。


 このユニークな(いえ)(なか)は、いったいどうなっているのでしょうか。

ケンの(いえ)は、(なか)がすべてふきぬけになっていて、かべ(づた)いにらせんをえがいてかいだんが()りつけられています。

そのとちゅうとちゅうに、イスの部屋(へや)やおふろ()、ベッドにしているハンモックなんかがせっちしてありました。


また、たけの(たか)いテーブルがいくつも()いてあって、そこにはどれもめずらしいしょくぶつのはちがかざってありました。


 てんじょうはガラスばりで、てっぺんが(まる)部屋(べや)になっています。

ケンはそこで研究(けんきゅう)したり、(ほし)(くも)のかんそくをしたり、ろん(ぶん)()いたりするのです。


 イヴが入口(いりぐち)のドアをノックしました。

けれど、(なん)返事(へんじ)もありません。

ドアノブを(まわ)してみましたが、びくともしませんでした。


「かぎがかかっている。ケンちゃんは、まだねているんだわ」


 ミルクが()うと、イヴがため(いき)をつきました。


「しょうがないわね。

ケンちゃんはいつだっておねぼうなんだから。

それじゃあ、いいわ。

いつものまどから(はい)ることにしましょう」


 二人(ふたり)(いえ)をぐるっと(まわ)って、まどから地面(じめん)までのびているツタをさがし(はじ)めました。

ケンの(いえ)にかざってあるしょくぶつの(なか)につたがあって、そのとても(つよ)いツタが一本(いっぽん)だけまどからはい()して、そのまま(そと)地面(じめん)までのびているのです。


ケンは上階(じょうかい)から、わざわざかいだんでおりて(おもて)()るのがおっくうな(とき)は、いつだってそのツタを使(つか)ってまどから(そと)へすべりおりるのでした。


そんなとても便利(べんり)なツタなのですが、そのせいでどろぼうに(はい)られたこともありました。

しかも一度(いちど)ではなく二度(にど)もです。

でも二度(にど)とも、ケンは(なに)()られずにすみました。


(かれ)(いえ)にあるめずらしいしょくぶつや、(ほし)写真(しゃしん)や、(くも)()なんかに、ありがたいことにどろぼうは全然(ぜんぜん)きょうみがなかったのですね。


 どろぼう以外(いがい)にもう一種類(いっしゅるい)友人(ゆうじん)でもないのにケンの(いえ)勝手(かって)()がって()()(もの)がいました。


それはテントウ(むし)です。


こちらの(ほう)がケンにとってはなやみの(たね)で、テントウ(むし)はしょっちゅう、(とく)(あき)から(ふゆ)にかけてケンの(いえ)(なか)()がりこんで()ます。


そしてかれの(いえ)で、まるで自分達(じぶんたち)(いえ)ででもあるかのように、勝手(かって)()ままにふるまうのです。


テントウ(むし)がせんりょうするのは、()まって最上部(さいじょうぶ)にある(れい)研究室(けんきゅうしつ)です。

それは日当(ひあ)たりがばつぐんでいつでもあたたかいためでしたが、ケンにとってもそこは(いえ)(なか)一番大切(いちばんたいせつ)場所(ばしょ)だったのですから、かれはこのまねかれざる(きゃく)普段(ふだん)から(あたま)をかかえていたのでした。


読んでいただき、ありがとうございます。

次回の掲載は2024年5月23日です。

 注意:作者がコメント欄を読むこと、またいかなる場合もコメントへ返信することはございません。読者の方のコミュニティーとして節度ある使用へのご理解と、ご協力に感謝いたします。

 注意:この作品は 『小説家になろう』、『カクヨム』、『Novel days』に、同時掲載しております。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ