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えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

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仲国の滅亡(後編)

 南門では、内乱を抑えていた梁綱だったが門が開いた隙に突撃してきた劉備軍と交戦となる。

 劉備「私は、劉玄徳だ。民たちに手は出さん。安心せよ。投降せよ」

 民「なんて慈愛の溢れたお方じゃ」

 民女「あれが劉備様。私たちを助けてくださるなんて」

 南門の兵「勝てるわけがねぇ。投降する」

 梁綱「ふざけるな。この梁綱が相手してくれる」

 劉備「一騎討ちか。受けてたとう」

 鮮于輔「殿がやるまでもねぇ。ここは俺が」

 劉備「ハハハ。翼徳や雲長がいない時ぐらい。私にも暴れさせてくれ。鮮于輔・田籌は、民の保護と投降した兵たちの管理を任せる」

 鮮于輔「殿、自ら暴れたいとは。なら止めはできませんな。了解しました」

 田籌「民たちと投降兵はお任せください。殿もどうか御無事で」

 劉備「あぁ」

 梁綱と向かい合い一騎討ちに応じる劉備。

 梁綱「総大将、自ら一騎討ちに乗るとは、その蛮勇後悔せよ」

 劉備「劉玄徳が相手となろう」

 雌雄一対の剣により、撫で斬りにされる梁綱。

 梁綱「馬鹿な!?関羽や張飛が強いだけではないのか。ガハッ」

 劉備「敵将、梁綱。劉玄徳が討ち取った」

 戦意を保っていた梁綱の周りにいた兵たちも梁綱の死により、次々と投降する。そして北門でも李豊が反乱した兵を抑えていたのだが開いた門から突撃してきた義賢軍により、交戦状態となる。

 義賢「劉義賢、推参」

 李豊「アイツが劉備の弟。見たところ弓のようだな。討ち取ってくれる。この李豊が相手となろう」

 太史慈「この太史子義がお受けしよう」

 李豊「なんだアイツ。横から急に現れた。クソッ名乗ったのは間違いであった」

 太史慈により、一撃で倒される李豊。

 李豊「袁術様、申し訳ありませぬ。劉備軍がここまで強いとは。ガハッ」

 北門の兵「李豊様が討ち死にするなんて、投降します」

 城までの道中にいた民や内乱を起こした兵たちも劉備軍を喜んで迎え入れたため。寿春城の城下町の制圧はほぼ完了し、寿春場内へと踏み込もうとしていた。踏み込んだそこは血塗れとなっていた。床に転がる袁術の身体。袁術の首を持ったまま背に無数の槍を受けて絶命していた橋蕤。震えながらも袁燿と袁紅姫にそんな姿を見せまいとして、2人の目を塞いでいる馮方女。劉備は、一眼見て、事の惨状を理解し、馮方女にだけ聞こえるように囁く。

 劉備「安心してください。2人の目を塞ぎつつ。付いてきてください。こんな凄惨な場面を見せまいとよく頑張りましたね」

 馮方女「子供たちの安全が第一です。今は従いましょう」

 馮方女・袁燿・袁紅姫を連れて、外に出た劉備は、全て終わったことを宣言し、寿春城内に打ち捨てられた袁術の亡骸と橋蕤の亡骸を運び丁重に供養した。そして、何があったのかを落ち着きを取り戻した馮方女に尋ねた。

 劉備「一体、寿春城内で何が起こっていたのです?」

 馮方女「四つの門が内乱により開いた事で、自身の保身に走った橋蕤が陛下に襲い掛かり、咄嗟に私は、子供達の目を塞ぎました。陛下の首を手に私の元に来て、強靭な刃が迫りそうな時、近衛兵たちが橋蕤の背を槍で突き刺し。内乱の兵を抑えるために城の外へ」

 義賢「袁術は皇帝を僭称した悪者。ですが良い夫であり、良い父だったのでしょう。このような結果となり残念です」

 馮方女「元はと言えば貴方方が攻めてこなければこのようなことには」

 劉備「献帝様を意のままに操る曹操殿に逆らうことはできません。それに袁術は漢王室を貶めた。許されぬ事です。それでも、話し合いができればと思い来たのですが」

 馮方女「話し合い?そんな、だって橋蕤は、劉備軍が攻めてきたと」

 義賢「成程、確かに我々は兵を挙げました。ですがそれは献帝様からの密書あってのこと。漢王室に仕える兄上にとっては従わざる終えなかったのです。それが例え曹操の思惑だったとしても」

 馮方女「曹操の思惑?ということは袁紹も関わっているのですか?」

 義賢「恐らく、紀霊大将軍との戦の後、現れた軍は恐らく劉表軍。袁紹の命を受けて、戦を長引かせるために送られた軍でしょう」

 馮方女「援軍ではなく戦を長引かせる?」

 義賢「えぇ。袁紹は河北の統一に拘り、公孫瓚と凌ぎを削っています。我が兄上は公孫瓚と懇意の間柄。曹操が献帝の密書で、劉備軍を動かしたのを見て、河北を統一するべく。戦を長引かせようとした。まぁ、袁紹にとっても計画通りでしょう」

 馮方女「そんな、憎み合っていても。従兄弟同士なのですよ。援軍を送ってくれたと喜んでいた陛下のことを思うと胸が痛いです」

 劉備「袁紹も献帝の奪取を目論んでいるのだろうか?」

 義賢「その可能性は高いでしょう」

 馮方女「だとしたら。そんなにのんびりしていて良いのですか?」

 劉備「何が」

 馮方女「ということは、今まさに劉備殿が懇意にしている公孫瓚殿は袁紹に攻められているという事ではないですか?」

 劉備「!?そうなのか丁?」

 義賢「えぇ、恐らく。ですが今からでは間に合わないでしょう」

 劉備「だからと兄弟子を見捨てることなどできん。俺は行く」

 劉備は的盧に跨ると駆け抜けていった。

 馮方女「間に合わないとわかっていても助けるために向かう?劉備殿とはそういう御方なのですね」

 義賢「付いてく方は困ったものです。ですがそれが兄上の魅力とも言えましょう。紀霊殿、この場をお任せしても構いませんか?」

 紀霊「袁術様のこと、丁重に供養してくれて感謝している。奥方様と子供達のことは、任せてもらおう」

 義賢「感謝します。張飛殿と関羽殿は、兄上をもう追いかけているでしょう。俺たちも行きますよ」

 田豫「あぁ」

 太史慈「心得た」

 もう間に合わないと分かっていても公孫瓚の援軍に向かう劉備軍であった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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