家族との再会
劉備の過去と関羽の過去を聞いている間に時間は流れ、芙蓉姫と胡銀怜と胡金定が小沛城へと辿り着いたのだ。その護衛をしていたのが華雄と徐栄だった。
華雄「劉備殿の奥方様を無事にお連れしましたぞ」
義賢「華雄殿!それに徐栄殿!確か孫堅殿と共に霊帝様を送り届けていたのでは?」
華雄「うむ。その後、董白様を探して、楼桑村を訪ねましてな。そこで偶然、劉備殿と関羽殿に会いに来たという綺麗な女性と会いましてな。ここまでの護衛を引き受けたのです」
劉備「感謝する華雄殿」
関羽「華雄よ。感謝致す」
華雄「やめてくれ。霊帝様が李傕に襲われたとき劉備殿たちが一歩でも遅かったら俺の命はなかったであろう。このようなことで恩を返せたと思えぬ。我らを劉備軍に加えていただけないか?」
関羽「華雄よ。今更何を言う。お前は黄巾の乱の頃から我らの友ではないか。歓迎するぞ」
劉備「華雄殿。いや華雄よ。今後の働きに期待する」
華雄「武働きにて必ずやお返ししますぞ。そうだ紹介しましょう」
華雄がそう言うと歳は40前後であろうか?壮年の男性が挨拶をする。
???「劉備殿に拝謁します。我が名は李儒と申します。華雄や徐栄と馴染みの付き合いでしてな。軍師を務めております。これよりは劉備殿を殿とお仕え致します」
劉備「これからの働きに期待する。李儒殿、いや李儒よ」
義賢「(李儒と言えば董卓の腹心として、その知謀を奮った名将だ。だが悪いイメージしかない。こんなやつを招き入れて本当に良いのか?だが兄上の天下のために非常な決断が必要になったとき、それを献策できるのもまた李儒だけであろう。なら俺がすべき事は)李儒殿、1つ聞いても構いませんか?」
李儒「なんでしょう?」
義賢「董卓を殺したのは劉備義勇軍だと言ったらどうしますか?」
李儒「ハッハッハ。これは異なことを申される。私がお仕えしていた董卓様は死んでなぞおりませんぞ。今も荊州の奥地で生きておられる方が私がお仕えした董卓様です。これで如何かな?」
義賢「全く、お人が悪い。知っていたのですね。というよりもいつから?」
李儒「そうですなぁ。私が初めて仕えたのは確かにあの暴虐無人な董卓でした。いつからか変わった董卓に不審を抱き。尋ねたのです。貴方は董卓なのかと。そしたら笑いながらお前の目にはどう見える。それが真実だと。それで確信したのです。入れ替わっていると。ですが変わられた董卓様は明らかにこれまでと違い武にも優れ、率いるものとしても全然違った。知謀の奮い甲斐があるものです。華雄や徐栄と共にお支えしていたのですが李傕の反乱の際に離れ離れとなり、伝手を頼って、華雄や徐栄を探し、合流した次第」
義賢「全く、恐れ入る。兄上、心強い知恵者が加わりましたな」
劉備「うむ」
徐栄「あのー、奥方様たちをほったらかしとくのはどうなんですかね」
劉備「これはすまぬ。華雄に徐栄、それに李儒よ。此度は大義であった」
華雄・徐栄・李儒「有り難き」
3人が城を後にすると芙蓉姫と胡銀怜と胡金定が入ってくる。
芙蓉姫「私に内緒で、新しい妻を迎えたと聞いたのですけど。どこかしらね?」
甘氏「すみません。すみません」
芙蓉姫「あら、可愛い。これから宜しくね」
甘氏「はぃ〜」
劉備「芙蓉はそのようなことで怒らぬから安心せよ甘。いつも落ち着いたら側室を迎えなさいと口うるさく言われてるからな」
芙蓉姫「国を治める者として、多くの子供を残すことが大事ですからね。あら義賢ちゃん、良かったー心配したのよ。落雷に当たって意識不明って聞いてたから」
義賢「、、、」
芙蓉姫「えっ、私がわからないの?そんな酷い」
劉備「落雷の影響でな。それ以前の記憶を無くしている」
義賢「ええええ。俺って落雷に当たったのですか?」
劉備「そのことも忘れているのだな。あぁ、落雷に当たり、意識不明で家で寝ていた時にふと目を覚ましたのだ。心底心配していたが母と目覚めたら普通にしてやろうと話していてな」
義賢「そうだったのですか」
芙蓉姫「確かに記憶がないのなら私のことを知らなくても無理はないわね。玄徳の妻芙蓉姫と申します。宜しくね義賢ちゃん」
義賢「、、、って義姉上なのですか!」
芙蓉姫「そうなるわね」
義賢「申し訳ございません」
芙蓉姫「気にしないで、ほら封、いつまでも母さんの裾を掴んで隠れてるのよ」
後ろから4歳ぐらいの男の子が劉備の元に駆け寄る。
劉封「ちちうえ〜」
劉備「ヨシヨシ。大きくなったなぁ封」
義賢「(封ってまさか劉封。養子じゃなくて実子ってこと)」
張飛「大兄者の嫁さんか。俺の名は張飛。大兄者の義弟だ」
関羽「同じく。関雲長」
芙蓉姫「玄徳から色々聞いてるわ。いつも玄徳を助けてくれてありがとね」
張飛「へへ。おぅ」
関羽「うむ」
胡銀怜「関羽様、やっとずっとお側に居られるのですね」
胡金定「姉様の嬉しい顔を見るの久しぶりですわ」
関羽「銀に金、某も会えて嬉しいぞ。あぁ、今日よりここで共に暮らすのだ。ずっと一緒だ」
胡銀怜「嬉しい。ほら関平。父上ですよ。いつまで私の裾を掴んでいるの」
4歳ぐらいの男の子が関羽に駆け寄る。
関平「ちちうえ〜」
関羽「関平、大きくなったなぁ。これよりはずっと父と一緒じゃ」
関平「いっぱいあそんでくれる?」
関羽「あぁ」
関平「ともだちもできる?」
関羽「あぁ」
関平「ヤッター」
関平に劉封が近づいてくる。
関羽「これは劉封様、ワシの息子に何か?」
劉封「ともだちにりっこうほする」
関平「ぼくでいいの?」
劉封「うん。ぼくリュウホウ。きみは?」
関平「カンペイ。リュウホウよろしく」
劉封「カンペイよろしく」
劉備「雲長。私の息子はお前にとっても甥っ子であろう。様など付ける必要はない」
関羽「かしこまりました兄者」
賑やかになりつつある小沛城であった。
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