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えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

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張飛と夏侯月姫の婚姻

 時が経ち、曹操から書面が送られてきた。そこには張飛と夏侯月姫の婚姻を認める。だがお互い大っぴらにはできぬことである。徐州と兗州の緩衝地帯にて、お互いの親族のみで盛大に2人の門出を祝う事としようとのことである。この期間にも劉備軍でも意見は様々であった。それこそ張飛殿が話し終わったその日はかなりやばかった。

 張飛「って事なんだがよ。大兄者、一生のお願いだ。月姫との結婚を認めてくれねぇか。俺はガサツだしよ。こんな俺を愛してくれんのはコイツを逃したら現れねぇと思うんだ」

 劉備「しかし、翼徳。事が事だ。夏侯淵殿が曹操殿のお伺いを立てているのなら返事を待つとしよう」

 徐盛「納得できねぇ。曹操と親戚になるって事だろう。アイツは罪なき徐州の民を虐殺するような男だ。許せねぇ。この女も殺しちまえば良い」

 諸葛瑾「それをすれば憎き曹操と同じになる」

 歩騭「瑾のいう通りだな。我らが劉備殿を支えたいと思ったのは、2度と我らのような者を出してほしくなかったからだ」

 厳畯「殿、張飛殿の想いを汲む事を我らは賛成いたします」

 義賢「遅れて申し訳ありません。ってえっ何か揉めてるのでしょうか?」

 劉備「丁、よく来てくれた。お前の意見を聞こう。カクカクシカジカなのだ」

 劉備が先程張飛から聞いた話を義賢に聞かせる。

 義賢「曹操の傀儡とされる可能性も捨てきれません。ですが諸葛瑾殿の言う通り、夏侯月姫殿を処断などすれば、それは罪なき民を殺す曹操と同じとなるでしょう。あくまで戦場で仕返ししてやれば良いのです。その機会は必ず訪れます。今は堪えてくだされ徐盛殿」

 徐盛「頭に血が昇ってたみてぇだ。少し外で冷やしてくる」

 関羽「兄者、徐盛のことだが血気盛んなところがあるが野盗討伐でも活躍していた。誰よりも義侠に溢れているのだ。御容赦願いたい」

 劉備「勿論だ。雲長」

 関羽「寛大な処置に感謝いたします。でもこれで、我ら義兄弟も嫁持ちとなるのですな」

 義賢「その事なのですが兄上の妻も関羽殿の妻も見た事ないのですが」

 劉備「何言ってるんだ丁。私の妻は、お前もよく知っている芙蓉姫だ」

 関羽「拙者の妻は、2人いましてな。姉妹なのです。胡銀怜コギンレイ胡金定コキンテイと言いましてな。流浪するにあたり安全なところに置いてきましてな。息子ももう良い歳になったはず。そろそろ会いたいとはおもっておるのですがな」

 劉備「私も息子にあっていないな」

 いやいや兄上も関羽殿もどんだけ妻に対して、ドライなんだよ。俺は危ない場所でも董白と離れたくなんてないぞ。でも、それもまた信頼の現れか。でも兄上の息子ってまだ産まれてないよな?誰のことだ。

 義賢「小沛城にお呼びするのはどうですか?」

 劉備「うむ。良い機会だ。手紙を出すとしよう」

 関羽「某もそうしましょう」

 そして、時が経ち。張飛と夏侯月姫の結婚式が盛大に行われたのである。曹操軍はこれでもかと豪華な嫁入り道具を劉備軍はこれでもかと豪華な料理を振る舞ったのである。

 曹操「劉備殿、これで我らと貴殿は縁者となりますなぁ」

 劉備「そうなりますね」

 曹操「徐州の件、申し訳ない事をした。これよりは縁者となったのだ。共に歩もうではないか」

 劉備「父上を殺されたのです。無理もない事でしょう。ですが罪なき民に手を出した事は決して許されぬ事です」

 曹操「うむ。陶謙の治める土地に住む者まで悪逆非道な者に見えていたのだ。劉備殿が現れてくれなければ末代まで語られる大きな恥となったやもしれぬ」

 劉備「私はこれからも弱者を守る側で居たいのです。曹操殿が民に手を出さぬのであれば、これ以上私たちの仲が拗れる事はないでしょう」

 曹操「肝に銘じておくとしよう。今日は2人の門出じゃ。政治の話はこれぐらいにしておくとしよう」

 劉備「そうですね」

 夏侯淵は夏侯月姫を父親の代わりとして、張飛の元に連れて行く。

 夏侯淵「月姫を流したりしたら容赦しねぇぞ」

 張飛「安心してくれ。こんなガサツな男を好いてくれる女なんざ。月姫ぐらいだぜ。大事にする」

 夏侯淵「それが聞けて良かった。戦場ではお互いそういった感情は捨てねぇとな」

 張飛「あぁ、そうだな」

 夏侯月姫「もう、叔父様ったら。いつまで話してらっしゃるのよ」

 夏侯淵「すまねぇ。月姫、幸せになれよ」

 夏侯月姫「叔父様。いままで育てていただき感謝いたします」

 夏侯淵「月姫、月姫ーーーーーーーー」

 夏侯月姫の言葉で涙腺の崩壊した夏侯淵は男泣きしていた。それを隣で夏侯覇が肩に手を置き慰めていた。今日この時は、この場に集まった誰もが2人の新たな門出を祝福していた。勿論この時代だ結婚するのに神父とか居ない。飲んで騒いで、祝うだけだ。それでも2人の顔は幸せいっぱいだった。やがて、終わると曹操軍は本拠地である許昌へと帰っていく。その道中で曹操は残念そうな顔をしていた。

 夏侯惇「孟徳。どうした浮かない顔をして」

 曹操「元譲よわかるか。張飛と月姫の婚姻を通して、劉備を取り込むつもりであったが、存外うまくいかぬものよな。だが、せめて縁者から嫁に出したのだ。その分は働いてもらわねばな。帰って戯志才・郭嘉と今後の相談じゃ」

 夏侯惇「そうか。俺にとっても月姫は姪になるのだ。早々に戦となることだけは」

 曹操「わかっておる。心配するな」

 夏侯惇「孟徳がそう言うのなら信じよう」

 曹操「それにしても忙しくなる。兗州制覇のために宛に残る張済をなんとかせねばならんな」

 夏侯惇「それらもすべて郭嘉と相談であろう」

 曹操「そうだな」

 劉備を取り込むという曹操の目論見は破綻した。それは同時に曹操が劉備を英傑と認めた日でもあった。いずれくる全面戦争のために着々と準備を進める曹操軍であった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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